立川のバー「30人宴会キャンセル、たすけて」 チーフが語る「SOSツイート」の顛末

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   「予約トラブルにて宴会がキャンセルになり料理が大量に余っております」「安く提供いたしますので皆様たすけてください」――。2017年11月20日夜、ツイッター上でこんなSOSが発信された。

   投稿主は、東京都立川市の飲食店「BAR&Dining Mocha(モカ)」の公式アカウント。J-CASTニュースは、件の「SOSツイート」から一夜明けた21日、店の責任者に詳しい事情やその後の顛末を聞いた。

  • 予約客のために作った30人分の料理の一部(画像は店の公式ツイッターより)
    予約客のために作った30人分の料理の一部(画像は店の公式ツイッターより)
  • 予約客のために作った30人分の料理の一部(画像は店の公式ツイッターより)

総額13万円の貸し切り予約が...

   騒動の舞台となった飲食店「モカ」は、JR立川駅から徒歩3分ほどの場所にあるダイニングバー。落ち着いた雰囲気の内装と豊富なアルコール類、こだわりのフードメニューをウリにする店だ。

   いったい、ツイッターで発信した「予約トラブル」とは何だったのか。店の責任者でチーフバーテンダーの大源(だいげん)遼画さんは21日夕、J-CASTニュースの取材に、「30人分の貸し切り宴会がキャンセルになりました」と話す。続けて、

「宴会を予約していたお客様が店に来られなかったため、念のため電話をしたところ、返答は『1週間前にキャンセルしていた』というものでした。しかし、私どもの方ではそういった連絡があったことは確認できず、結果として予約当日の夜に宴会のキャンセルを知るという事態になりました」

と話す。

   本来ならば、当日キャンセルは客側が予約料金の全額を支払う貰う決まりとしていたが、「お客様本人が1週間前に伝えたと言っているので、そこは仕方ありません」。無料でのキャンセルを受け入れたという。

   大源さんによれば、この客が予約していたのは1人あたり4480円(税込)のコース料理付き飲み放題コース。30人分なので、総額は13万4400円。サラダやローストビーフ、カルパッチョなどの前菜、時間のかかる揚げ物料理などは事前に作っていたため、

「ただでさえ月曜日なので、あまり多くのお客様の来店は見込めない。にも関わらず、店内に大量の料理だけがあるという非常にマズい状況になってしまいました」

と振り返る。

   そうした状況の中、店側が一縷の望みを抱いて活用したのがツイッターだ。予約時間が過ぎた20日19時過ぎ、

「予約トラブルにて宴会がキャンセルになり料理が大量に余っております......安く提供いたしますので皆様たすけてください......」

と投稿。この日は、通常のメニューにはない3時間2000円の飲み放題コースを用意し、キャンセル分のフードを無料で提供したという。

「皆様のおかげで救われることができました!」

   すると、この「SOSツイート」に多くのユーザーが反応。大源さんによれば、この日は結果として、元々の予約人数と同じ30人ほどが来店。そのほとんどが、「ツイッターを見て、初めて当店に来ていただいたお客様でした」と振り返る。

   店の公式ツイッターでは21時40分頃、事前に用意していた料理がすべて無くなったと報告。あわせて、

「皆様のおかげで救われることができました!本当にありがとうございます!」

と感謝の言葉を述べている。その後は、単品で料理を注文する客もおり、結果的に「売上はかなり挽回できました。結果として、通常の月曜日より良かったかもしれません」(大源さん)という。

   今回の予約キャンセル騒動について大源さんは、

「ツイッターを見て来店して頂いた皆様には、本当に感謝しています。なかには、『バーに来ること自体が初めて』と仰っていたお客様もいました。私どものサービスで、バーの醍醐味を少しでも伝えることができたならば、それは嬉しく思います」

と改めて感謝を述べている。

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