子どもは好奇心が旺盛で、家具につかまったり登ったりすることが多い。その弾みで家具が転倒、子どもがけがをしたり死亡したりする事故が相次いでいるため消費者庁は2017年11月10日、保護者に注意するよう呼びかけた。
消費者庁の医療機関ネットワークに寄せられた情報では、6歳以下の子どもの事故は過去6年間で41件あり、うち2件は死亡事故だ。
タンスの引き出しを階段にして遊ぶ子が危険
消費者庁の発表資料によると、家具の転倒などによる子どもの事故は世界的に増えており、今回の注意喚起は、経済協力開発機構(OECD)が2017年11月上旬を「家具やテレビの転倒事故を防止する国際啓発週間」に定めたキャンペーンに合わせたものだ。子どもは、大人が予測できない行動をとり、それが事故につながる。米国では2週間に1人のペースで子どもの死亡事故が起きている。日本で起きた、特に多い典型的な事故は次のとおりだ。
(1)タンスの上にあるおもちゃを取ろうとする。1歳児が自宅のタンス(高さ120センチ)の下敷きになり、仰向けで泣いていた。タンスの一番上にあるおもちゃを取ろうとして、引き出しにぶら下がったらしい。
(2)引き出しを階段状にして遊ぶ。4歳児がタンス(高さ約150センチ)の引き出しを階段状にして乗って遊んでいたところ、タンスとその上にあったテレビが倒れてきて、タンスの下敷きになった。すい臓と肝臓を損傷する重症。
(3)テレビ台に乗って遊ぶ。2歳児がテレビ台に登って遊んでいたところ、テレビ(37インチ)ごと転倒し、腹部にテレビが刺さる形で床に転落した。肝臓が損傷した。
(4)タンスの引き出しを全部引き出す。5歳児が、木製の重いタンス(高さ約100センチ)の引き出しを全部出してしまった。すると、引き出しの重みでタンスが傾き、倒れてきた。出ていた一番下の引き出しと床の間に左足が挟まった。
(5)タンスの引き出しに片足をかける。1歳児が木製のタンス(高さ約120センチ)の引き出しに片足をかけて遊んでいたところ、突然、タンスとその上に置いていたテレビが倒れてきた。テレビと床の間に頭がはさまれた。
家具を固定し、引き出しにはストッパーを
こうした事故を防ぐため、消費者庁では次のようにアドバイスしている。
(1)家具やテレビは固定して使う。ホームセンターなどで売っている転倒防止グッズで、壁や台に固定する。地震対策と合わせて活用するとよい。
(2)家具の引き出し、特にタンスの引き出しには鍵やストッパーをつける。最近、中身が詰まった重い引き出しでも楽に出せるようレールが付いているタイプがあるが、子どもには危険なので注意したい。
(3)家具の上に子どもの興味をひくものやおもちゃを置かない。タンスの上に、テレビのリモコンやおもちゃを置くと、子どもは登って取ろうとする。