米サンフランシスコ市内に慰安婦像と碑文が設置された問題で、大阪市の吉村洋文市長と朝日新聞の間で応酬が展開されている。
吉村氏はサンフランシスコ市側が対応を見直さなければ、年内にも姉妹都市提携を解消する意向だが、これを朝日新聞が社説で「ちょっと待ってほしい」と批判。吉村氏は、過去の朝日新聞の慰安婦をめぐる報道を引き合いに「『ちょっと待て』はこっちのセリフだよ」とツイッターでやり返している。
拒否権発動期限までに返事なければ提携解消の手続き
サンフランシスコ市の慰安婦像は、元々は私有地に設置されたが、設置した市民団体が設置スペースを市に寄贈する意向を表明。市が寄贈を受け入れれば、結果的に慰安婦像が公有地に建つことになる。吉村氏は、仮に公有地に慰安婦像が設置されれば姉妹都市関係を見直すとする書簡を9月29日付で、サンフランシスコ市のエドウィン・M・リー市長宛に送っていたが、サンフランシスコ市議会は11月14日、慰安婦像を公共物として受け入れることを議決。
これを受け、吉村氏はリー市長に拒否権発動を求める書簡を発送した。拒否権発動の期限にあたる11月24日までに返事がなければ、提携解消の手続きに入る考えを明らかにした。
この方針を批判したのが11月19日の朝日新聞社説だ。「姉妹都市 市民交流を続けてこそ」と題して、
「ちょっと待ってほしい。姉妹都市の関係のもとで育まれてきた交流は、双方の市民の歴史的財産である。市長の一存で断ち切ってよいものではない」
「『違う』と考えることを『違う』と伝えること自体は大切だろう。だが、意見を受け入れなければ友好関係を解消するというのは、冷静さを欠いている」
などとして姉妹都市関係の継続を主張した。