「リラックス」と「集中」が同時、あり得ない呼吸法
小森教授「通常ではあり得ない脳波の出方です。眠っていながら頭が冴え切っている、そんな状態の脳波といってよいでしょう」
つまり、川上さんは呼吸法によって、「気配を消す」「平常心でいる」「集中する」の3つを果たしてしまったわけだ。どうしてこんなことが可能なのか。 呼吸法と脳波に詳しい本間生夫・東京有明大学学長がこう説明した。
「感情をつかさどるのは脳の扁桃体という場所ですが、じつは扁桃体は呼吸のリズムを生み出す場所でもあります。私たちはストレスがたまると呼吸が早くなり、リラックスすると呼吸がゆっくりになります。この逆に、呼吸をゆっくりと深々と行なうと、リラックスして落ち着くことができるのです」
番組ゲストの元レスリング日本代表の浜口京子さんがうなずいた。
浜口さん「レスリングでも30秒間のインタバールの時、大きく深い呼吸を繰り返すと、落ち着いて力を出すことができます。いつもやっていますよ」
深呼吸などいつでもできると思っている人が多いが、実はできない人が非常に多いと本間学長が指摘した。深呼吸に必要な「呼吸筋」を鍛えていない人が大半だからだ。呼吸筋には吸う筋肉と吐く筋肉がある。本間学長が両方のストレッチ方法を紹介した。
【吸う筋肉のストレッチ】
(1)両手を組んで胸元に置く。
(2)息をゆっくり吐きながら、背中を丸め、組んだ腕をゆっくり前に突き出す。肩甲骨が広がるのを意識する
(3)今度は、ゆっくりと息を吸いながら腕を元に戻す。
(4)これを3~4回繰り返す。
【吐く筋肉のストレッチ】
(1)両手を組んで頭の後ろに置く。
(2)息をゆっくり吸いながら、背中を伸ばし、組んだ腕をゆっくり上に突き出す。かかとは床につけ、背中が伸びるのを意識する。
(3)今度は、ゆっくりと息を吐きながら腕を元に戻す。
(4)これを3~4回繰り返す。
本間学長「このストレッチは、何か不安がある時に行なうと、即時効果がありますよ。心が落ち着きます」