「#7119」にダイヤルし医療従事者に相談できる
東京消防庁管内では年々、救急車の出動回数が増えている。2016年は77万7382件で、前年比2.3%増。救急業務が始まった1936年以降、過去最多だった。出動頻度は実に41秒に1回のペースだ。2016年は、通報から現場に到着するまでの平均時間が7分30秒だった。
そこで東京消防庁では、救急車の適正利用を呼び掛けている。実は医療機関に搬送された人のうち、52%が医師から軽症と診断された。なかには、子どもが膝をすりむいたり、料理中に包丁で小指に切り傷ができた程度で救急車を要請したケース、また病院に入院するためにタクシー代節約が目的で呼んだという人もいた。
これらはさすがに極端だろうが、実際に自分が体調を崩し、救急車を呼ぶうえで緊急性の有無を自己判断する場面に遭遇するかもしれない。もし迷ったら「救急相談センター」を活用するとよい。電話で「#7119」とダイヤルすると、医師や看護師、救急隊員経験者が24時間態勢で「救急車を要請してよいか」「今すぐに病院へ行くべきか」といった相談に応じてくれる。総務省消防庁によると、2017年10月13日現在で東京都や大阪府、福岡県、埼玉県、宮城県、奈良県で実施され、市町村レベルでは横浜市、札幌市、神戸市、和歌山県田辺市でも利用できる。
もちろん、「傷病者の様子や事故の状況などから、急いで病院へ連れて行ったほうが良いと思ったときには、迷わず119番通報をしてください」と東京消防庁はウェブサイトで強調している。ただ、「#7119」の利用が拡大、定着すれば不要な救急車の出動が減り、本当に必要としている人が待つ場所へ短時間で到着できるようになるはずだ。
逆にこのまま出動回数の増加に歯止めがかからなければ、これまで通りの利用ができなくなるかもしれない。現に2015年には、国の財政制度等審議会が救急車の一部有料化を検討するよう財務相に提言している。