小池知事の弱体化が影響する? 地方消費税めぐる駆け引き

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大都市が反発

   財務相の理屈は、消費税が高齢者や子育て世帯を対象とした社会保障の財源であることを重視し、人口を中心に配分するのが適切、というものだ。具体的には、消費額や従業員数という基準をなくし、単純に人口に応じて配分する案のほか、人口でも15歳未満と65歳以上の「老齢・年少人口」の比率に応じて配分する案などが浮上している。後者は少子化・高齢化への対応という狙いを明確にするものだ。

   これに強く反発しているのが東京都を筆頭にする大都市だ。東京都、大阪府、愛知県は11月14日、野田聖子総務相に対し、「税収を収奪することを意図した不合理なものだ」として、再考を求める要請書を提出。この中で、「地方消費税は安定的な自主財源として必要不可欠」と指摘し、人口比率などで配分するのは「頑張る地方が報われない仕組みとなりかねず、地方創生の理念とも相いれない」などと批判している。総務省への要望後、小池百合子都知事は、「人口比率をことさらに高めると地方税の意義そのものを失う。断じて行わないように要請した」と述べた。

   実際にどの程度税収に影響するかは不明だが、配分比率の変更の仕方によっては、東京都の税収が1000億円減るとの試算もあるだけに、小池知事らは必死だ。

   財務省の問題提起だが、具体的な見直し作業を担当するのは総務省で、検討会を設けて議論を進めている。総務省も、人口比率を高める必要は認めているが、野田総務相は「(消費税収は)消費地に帰属させるのが基本」(10月31日の会見)と述べており、人口を過度に重視することには慎重。今後、与党税調を舞台に財務省とやり合うことになる。

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