ちょっとした空腹感を満たす「小腹満たし飲料」が、ビジネスパーソンに人気だ。
エキナカの自動販売機「acure(アキュア)」を展開するJR東日本ウォータービジネスは、2017年冬の「一押し」商品として、「小腹満たし飲料」を売り込む。なかでも、帰宅時間の売り上げボリュームが伸びており、「残業帰り」や「呑んだ後の仕上げ」にゴクッとやるようだ。
中高生に人気、30~40代に広がる
寒くなると欲しくなるのが、温かい飲み物。ウェザーニュースの商業気象チームの調査によると、HOTとICEを飲む人の比率が半々になる境目の気温は、最高気温が20~25℃あたり。東京や名古屋、大阪などの主要都市では、10月上旬ごろからHOT飲料を入れはじめ、11月中旬ごろまでにHOT飲料をより多めに増やしていくという。
ただ、2017年は夏があまり暑くなかったため、HOTへの切り替えを早めているようで、早くもHOT飲料商戦が熱を帯びている。
そうした中で、注目されているのが「小腹満たし系飲料」だ。HOTでは、いわゆるコーンポタージュや味噌汁、おしるこ、ICEでは「噛んで飲める」果肉入りの清涼飲料や飲むヨーグルトなどが代表的な飲料だが、新商品も続々と登場している。
JR東日本の駅構内などに、大きいタッチパネルが特徴の次世代型自動販売機「acure」を展開するJR東日本ウォータービジネスでは、「焼いもだより」(ハウスウェルネスフーズ、10月17日発売)や「贅沢バニラミルク いちごミックス」(南酪農農協同、11月14日発売)、「コク Grand time ふって飲む甘美なショートケーキ」(ダイドードリンコ、11月28日発売)を順次発売。この冬の商品ラインアップとして「小腹満たし系飲料」を強化した。
同社によると、小腹満たし系飲料の売り上げは、2014年実績を100とした場合、15年度は104.0%、16年度は113.6%に達した。 小腹満たし系飲料は、「たとえば、今夏の『2つの食感ソーダゼリー』(ダイドードリンコ)は当初、中高生に人気の商品でしたが、最近は30~40代の方々にも飲まれる、伸びている商品になりました」と説明。ビジネスパーソンからのニーズに応え、いずれの商品もこれまでの飲料とは一線を画す、個性豊かな商品、かつエキナカにしかない商品として売り上げアップを目指す。
夕方以降の売り上げアップに貢献
「acure」はJR東日本のエキナカに設置されているため、ビジネスパーソン、なかでも30~40代の男性の利用が多いのが特徴。JR東日本ウォータービジネスによると、「小腹満たし系飲料」の時間帯売り上げの構成比をみると、ビジネスパーソンの仕事帰りにあたる19時過ぎからジワジワと上昇。23時~0時にピークを迎える。
「acureは、一般的に朝8時ごろに利用のピークを迎えます。会社の通勤途中、手軽に購入できる便利さがいいようですが、『小腹満たし系』については、そのピークの山が夕方から夜遅くなります」と説明。23時30分ごろにはエキナカの売店が閉まることもあり、呑んだ後や残業で帰宅が遅くなったビジネスパーソンの、ちょっとした空腹感を満たす飲み物として売り上げを伸ばしているようだ。
同社としては、売り上げが落ちてくる夕方以降の売り上げアップに貢献する商品として期待している。
飲料の自販機の国内設置台数はここ数年、減少傾向にある。日本自動販売システム機械工業会の「自販機普及台数および年間自販金額 2016年版」によると、2016年12月末の飲料自販機の普及台数は、前年比2.9%減の247 万4600台。それに伴い、売上高も減少。飲料自販機の2016年の売上高は、2兆298億200万円だった。
設置台数の減少要因には、コンビニエンスストアのカウンターコーヒーやファストフード、ディスカウントストアなどとの競合激化に加えて、自販機の売り上げ減少で、飲料メーカーの自販機への投資意欲が著しく低下しことなどがあげられる。
その一方で、最近は「acure」のような次世代型自販機が続々と登場。天気や気温などの変化から飲み物をオススメしたり、よりユーザーにあった飲み物を提案したりするマーケティング機能や災害用機能、省エネ自販機におしゃべり自販機、飲み物以外の商品を発売する機能といった最新技術を詰め込んだ自販機が続々開発され、投入されている。