1日にビール中ビン2本以下がベスト
飲酒量の死亡率の影響は男性より女性の方が高く、「全く飲まない人」に比べ最も多量に飲む人に死亡リスクは、男性が20%増なのに対し、女性は60%増に跳ね上がった。一方、病気別に比較すると、男女とも「心臓病」と「呼吸器病」が、「ほどほどに飲む」グループが一番死亡リスクが低かったが、「がん」と「脳血管病」では、「全く飲まない人」の死亡率が一番低く、飲む量が上昇するにつれ、死亡リスクが高くなった。女性では、「呼吸器病」だけが「ほどほどに飲む人」の死亡リスクが最も低かったが、それ以外の病気では、「全く飲まない人」の死亡率が一番低く、飲む量が上昇するにつれ、死亡リスクが高くなった。
それにしてもなぜ、「ほどほどに飲む人」が長生きするのだろうか。研究チームは、発表資料の中でこう分析している。
「少量の飲酒は、HDL(善玉コレステロール)を増加させ、血液中に血栓ができにくくする効果があります。また、少量から中量の飲酒には抗炎症作用があり、これが呼吸器病の死亡リスクを下げると思われます。さらに、少量から中量の飲酒には、免疫機能やインスリンの働きを改善することが知られており、がんの死亡リスクを下げているのかもしれません。ただし、多量の飲酒は死亡リスクを上昇させることが改めて確認されました。適度に飲むことが大切です」
今回の研究では、「休肝日」(全く飲まない日)を週1~2日取るグループと、取らないグループの比較も行なった。すると、休肝日を取らない人は休肝日を取る人に比べ、飲酒量の多い少ないに関係なく、すべての病気で死亡リスクが高くなった。特に、がんと脳血管病の死亡リスクが上昇した。毎日少量なら休肝日がなくてもよさそうな気がするが、なぜ危険なのか。研究チームはこう解説している。