シロアリ専門狩人が、何でも食べる殺し屋に変身
その結果、米国に侵入したオオハリアリが日本ではシロアリ専門だったのに、それ以外の昆虫や節足動物を幅広く捕食するように食性を変化させたことが分かった。面白いことに、オオハリアリの巣の密度は、米国では原産地の日本の倍近くに増えているのに、エサとなるシロアリの巣の数は減らなかった。その代わり、在来アリの巣が減っていることがわかった。これは、在来のアリのエサになる小動物をオオハリアリが奪っているためだという。
研究チームの松浦健二京都大学教授は発表資料の中でこうコメントしている。
「今年はヒアリが話題になりましたが、実は海外に進出して問題になっているアリが日本にもいます。外来生物の中には侵入地で猛威をふるうものと、定着できずに消えるものがあります。私たちの研究は、原産地と侵入地で食性を変化させると、予測できない大きなインパクトを侵入地の生態系に与えることを示しています」
オオハリアリが、日本では目立たない存在だったのに、米国では厄介者になったのは、環境に応じて食性を変える適応能力の高さというわけだ。