【所さん!大変ですよ】(NHK総合)2017年11月9日放送
「100歳の食卓 健康長寿の秘けつとは?」
長寿大国といわれる日本。いまや100歳以上の人は全国に6万7000人もいるという。
病気を患わずに家事や仕事もバリバリこなし、恋愛だって現役なご長寿さんもたくさんいる。番組では、元気な100歳の食卓から長寿の秘けつをさぐった。
夕食前の日本酒で食欲モリモリ
島根県出雲市に住む柳楽林市さんは、2017年8月で100歳を迎えた。
駅から自宅までつえも使わず歩き、3年前に妻を亡くしてからは一人暮らしをして家事もこなし元気そのものだ。
1日は朝の散歩から始まる。足腰が衰えないよう、毎日家の周りを500メートルほど歩いている。
散歩が終わって8時30分、週2回家事を手伝いに来ている長谷川恭子さん(78)がやって来た。何と柳楽さん、長谷川さんに猛アプローチしているとか。
柳楽さん「家内がおる時は不倫ですが、もうおらんから。こっち(長谷川さん)も一人でいるわけで」
長谷川さん「『ごめん!ちょっと当たった』言うてスッとお尻を触られるから、『現行犯逮捕しますよ~』って」
柳楽さん「ちょっと手が...思わず当たる」
月に1回、仲間と「漢詩会」も行っている。この日は、100歳になった胸中を、「頭に1本生えた毛がワシの宝」という内容の漢詩にしたためて披露し、みんなと笑い合った。
柳楽さんのモットーは「食事をしっかり食べる者は長生きする」。
その言葉通り、朝食にはハチミツをたっぷりぬったトーストにリンゴ、バナナなど、6品目を食べる。長谷川さんが来ている日の夕食はほぼ毎回、大好物のすき焼きだ。
柳楽さんの食卓に長寿の秘密があるのか、名古屋学芸大学 健康・栄養研究所の下方浩史教授に食事風景を見てもらった。
下方氏が注目したのは、毎夕食前に飲んでいる日本酒だ。
下方氏「少量のお酒は食欲増進作用があるので、おいしくご飯を食べられます」
肉がたっぷり入ったすき焼きを食べているのもよいという。肉にはアルギニンというアミノ酸が含まれ、疲労回復や精力増強、筋力維持に効果がある。
100歳にして自分の歯をほぼ保ち、間食に豆をポリポリ噛んでいるのにも驚いていた。
下方氏「噛むにはあごの筋肉を使うため、脳の血流が増える。よく噛んで食べる人には認知症が少ないといわれている」
そんな柳楽さんだが、元気すぎるゆえの悩みがあるという。
高齢で一人暮らしをしていると、いつか世間に迷惑をかける時が来るかもしれないと、自分で老人ホームを探した。見つけた施設に問い合わせたが、「介護認定を受けて」と言われた。
生まれて初めて介護認定を受けたが、結果は「要介護2」。介護の必要なしと認定され、入所できなかったのだ。
102歳でレジ打ち、ラッピングもお手の物
千葉県東庄町の和菓子店では、田谷きみさん(102)が現役バリバリで働いている。
20歳で結婚してから82年、ほぼ休まず店に立ち続けている。手先の細かな作業が求められるラッピングもお手の物で、レジ打ちだってこなす。
昼休みは、50歳以上歳の離れた孫の妻と昼食を摂(と)る。出されたおかずは必ず一口は食べ、ご飯とみそ汁は残さない。
田谷さん「この人(孫の妻)より私の方がいっぱい食べる。体力付かないから無理して食べている」
下方氏は、毎食、海藻類を摂っているのを絶賛した。
海藻類に含まれるビタミンやミネラル、食物繊維が体調を整えるほか、豊富なマグネシウムが認知症予防につながる。
下方氏「頭の働きを若々しく保つのに役立っていると思います」
朝食は7~8時、昼食は12~13時、夕食は18時半~19時半と、毎日ほぼ決まった時間に食事を摂っているのもポイントだ。
下方氏「歳を取ると生活リズムが乱れて体調を崩すことが多い。毎日できるだけ同じ時間に食事するのが大事」
広島県三次市の谷口善之さん(102)は、90歳になってから「仏画」にハマった。細かい線をなぞる作業を3時間ほど続ける日もあるが、特に疲れないという。何と毎日筋トレを欠かさないのだ。
料理担当は69歳の息子だ。冷蔵庫にはバリエーション豊かな食材がぎっしり入っていて、ある日の夕食は牛タン、子持ちアユなど7品目が並んだ。
下方氏「同じものばかり食べると、食事に対する興味が薄れてくる。色んな食材があって、『これ食べておいしかったな、また食べたいな』など、好奇心を満たして食欲が増し、生活も豊かになる」
ミカンは焼いて皮ごと食べるべし
番組では、元気な100歳の食卓からヒントを得た健康長寿メニューが紹介された。
一つ目が「豚肉団子のポトフ」。
歳を重ねてもタンパク質を摂るのが重要で、肉団子にすれば食べやすい。スープなら野菜から溶け出した栄養素も摂れる。食べる際にポン酢をかければ、クエン酸で疲労感も抑えられる。
二つ目が「焼きミカン」。ミカンの皮の表面をお湯でしっかり洗い、オーブンで5分ほど焼けば完成だ。
ミカンの皮には「βクリプトキサンチン」などの抗酸化物質が含まれ、免疫力を高める効果がある。焼くと皮ごと食べやすくなるのだ。
司会の所ジョージ「苦味が何ともいえない。キンカンが好きな人にはたまらない」