「なぜ俺なんだ? 勝ちたくないのか」。ワールドカップ(W杯)予選敗退が刻一刻と迫るイタリア代表のベンチで、ウォームアップを指示されたMFデ・ロッシが発したとされる言葉だ。
得点が必須の状況で、なぜどちらかと言えば守りを中心とする自分が出るのか。デ・ロッシは2つ隣にいたある選手を「彼を出せ」とでも言うように指差していた。
「引き分けに来たんじゃない」
イタリアは2017年11月14日(日本時間)、ロシアW杯の欧州予選プレーオフ、スウェーデン代表との第2戦を0対0で引き分け、2戦合計0対1で予選敗退が決まった。「カルチョ(伊語でサッカー)の国」イタリアが本大会出場を逃すのは60年ぶり。W杯優勝回数はブラジルの5回に続く2位タイの4回で、06年ドイツ大会でも優勝していた。
イタリアは、対スウェーデン戦の第1戦を0対1で落とし、勝利以外にW杯出場の道はなかった。しかし、イタリアベンチが勝つ気があるのか、話題を集めている一幕がこれだ。
イタリアのツイッターユーザーがアップした地元テレビの映像では、ヴェントゥーラ監督にウォームアップを指示されたと思われるデ・ロッシが何かを訴えながら眉をひそめている。ベンチに座る別の選手を指差して目線をやっているようにも見えるが、ジャージを脱いで指示に従おうとしていた。
これをセリエA・ユベントスFCに関する情報サイト「ユーヴェFC.com」がシェアして発言内容を書いた。どこまで正確かは定かでないが、デ・ロッシは「なぜ俺なんだ? 引き分けに来たんじゃない。勝ちたくないのか」と監督に述べていたという。
「きっと這い上がってこられる」
ボランチやアンカーを本職とするデ・ロッシより、攻撃的な選手を投入すべきとの主張だったとみられる。そして目線をやったと見られる先にいたのは、SSCナポリで昨季18ゴールをあげたFWインシーニェ。起死回生の交代として期待したのかもしれない。だが、結局両選手ともこの試合のピッチに立つことはなく、欧州予選敗退を迎えた。
デ・ロッシやGKブッフォンらは試合後、代表引退を発表した。代表キャリア20年のブッフォンは、イタリアサッカー連盟公式サイトに発表したコメントで「私たちは誇りと強さをもっている。この大きな挫折の後、きっと這い上がってこられる」と述べている。
セリエA・インテルミラノでプレーするDF長友佑都は「イタリア負けた。 ワールドカップに出れない。 ショック...」とツイートした。
日本の他のユーザーからも
「初めて見るイタリアのいないワールドカップ」
「イタリアの選手達は誇り高かった。ブッフォン、デ・ロッシもそう」
「イタリアだってあんなに強いのにサッカーW杯出られない。でもそれは試合をした結果。スポーツってそういうもんだと思うな」
とイタリア敗退を嘆く声が続出している。