格付け機関に反撃を始めた中国 20億ドルのソブリン債が注目されたワケ

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   中国共産党第19回党大会が閉幕した翌日、香港では中国政府の大きな動きがあった。

   中国財政省は2017年10月26日、香港で20億米ドル建てのソブリン債(国家などが保証する債券)を発行したのだ。これくらいの債券発行はごくありふれたことだが、今回は国際金融機関とメディアが注目した。それは何故なのか。

  • 中国による格付機関への反撃が始まった(画像はイメージ)
    中国による格付機関への反撃が始まった(画像はイメージ)
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「格下げは間違った決定」

   今回のソブリン債発行は、国際3大格付け機関(S&P、ムーディーズ、フィッチ・レーティングス)が中国の信用格付けを共に下げた後に行われた。

   S&Pは9月21日に中国の格付けをAA-からA+に下げた。その前に、フィッチは5月26日の評価で中国の国としてのソブリン・レーティング(Sovereign rating)をA+の現状維持とし、ムーディーズはAa3からA1に下方修正した。

   これに対して中国政府は強い不満を表明し、財政省は「間違った決定だ」と反撃した。しかし、党大会の前は「口撃」以外の行動を取ったわけではない。

   S&P、ムーディーズ、フィッチの3大国際格付け機関は世界の信用評価を独占している。その3大格付け機関の信用評価を無視してみずから債権の値付けをするのは、これまでにはほとんど前例がないことだ。

   債券価格は、一般的に信用評価によって決まり、信用格付けが低ければリスクが高いことを表し、高利率で投資家に購買を促さなくてはならない。反対に信用格付けが高ければリスクは低く、それだけ利率も低くなる。

   中国政府が10月26日、香港で20億米ドルのソブリン債を直接販売の形を取り、信用格付けを無視して債券を発行したのは、「国際格付け機関の中国に対する評価は間違いであり、国際投資家は独自に客観的に評価することもできる」ことを国際社会に対して証明したかったからである。実質的に3大格付け機関への反撃に出たことを意味する。

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