イチロー、大谷、清宮ら「右投げ左打ち」選手 大リーグ研究では絶賛だが日本で危惧される理由

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少年野球指導者が勝利至上主義でつくった「左打者」

   ところで、日本代表(侍ジャパン)はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、1回目(2006年)と2回目(2009年)こそ優勝したが、3回目(2013年=4位)、4回目(2017年=3位)は優勝を逃した。オリンピックの野球でも、1992年(バルセロナ)~2008年(北京)まで一度も優勝することができず、2位が最高だ。「NEJM」誌に論文結果とは逆に、日本野球のパワーが落ちているのは、「右投げ左打ち」選手がプロ野球に増えているからだと指摘する野球関係者が多い。というのは、国際大会では外角のストライクゾーンが広いため、左打者は左投手に圧倒的に不利になるのに、侍ジャパンは「右の大砲」不足に悩んできた。

   ヤクルト、巨人、阪神で「右投げ右打ち」の強打者として活躍した野球評論家の広澤克美氏は、日経新聞の「『右投げ左打ち』増え...日本野球レベル低下に警鐘」(2014年5月21日号)にこう書いている(要約抜粋・以下同じ)。

「最近、プロ野球打撃部門の成績の十傑を見ると、外国人選手の名前がずらりと並ぶようになった。この現象を解くカギになるのが、最近増えてきた糸井嘉男、福留孝介らのような右投げ左打ちの選手だ。彼らは大砲というより、俊足好打の中距離砲だ」

   「なぜこういうタイプの野手が量産されるかというと、リトルリーグや高校野球の指導者が『この選手を大きく育てよう』というより、目先の結果、つまり目の前にある大会に勝つことを優先させるからだ。勝つためなら右投げ左打ちはとにかく便利だ。左打者は一塁ベースに近く、ちょっと足が速い選手がショートにゴロを打てば内野安打になる。まだ、このレベルでは捕手の肩が弱いので盗塁ですぐさま二塁に進める」

「確率の悪いホームランを打つ選手を育てるより、ゴロを打ち内野安打にできる選手をつくる方が、少年野球では勝ち進む確率が高くなる。本来は右利きでも、運動能力が高く脚力があれば、簡単に左打ちに変えられる。物理的には右利きは右打席に立った方が、遠くに飛ばすことができるのだが、それはあきらめてしまう。指導者が選手の育成より勝利至上主義に走るのは、彼らも結果を求められているからだ」
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