ソニーは、2018年3月期連結決算の営業利益見通しを従来予想の5000億円から6300億円に上方修正した。スマートフォン向け画像センサーやテレビ、音楽事業などが好調で、20年ぶりの最高益更新となる。17年10月31日の決算発表翌日には、家庭用犬型ロボット「aibo(アイボ)」発売を発表。「ソニーらしさ」復活の象徴となるか、注目されそうだ。
最大の稼ぎ頭はゲーム部門だ。家庭用ゲーム機「プレイステーション4」の販売が好調で、2018年3月期の営業利益は1800億円を見込む。半導体部門も調子が良い。営業利益見通しは1500億円で、従来から200億円上方修正した。スマホ背面に二つのカメラを搭載する「デュアルカメラ」化が浸透、画像センサーの販売を押し上げる見通しだ。前期は熊本地震の影響があり78億円の赤字だったが、急回復する。
V字回復
ほかに金融1700億円▽音楽940億円▽テレビなどのホームエンタテインメント&サウンド760億円▽デジタルカメラなどのイメージング・プロダクツ&ソリューション720億円――など、満遍なく稼ぐ見込みだ。
連結売上高は2000億円上方修正して8兆5000億円に、純利益は1250億円上積みして3800億円になるとの見通しも示した。
数年前までエレクトロニクス事業が不振で、下方修正を繰り返していたソニー。構造改革費用がかさみ、2014年3月期、15年3月期の純損益は2期連続で1000億円超の赤字だった。今回の増収増益予想で、「V字回復」が明確になったといえそうだ。
ソニーの勢いを体現するのが「aibo」だ。1999年に発売して15万台以上売れた「AIBO」の後継商品。AIBOは構造改革の一環で2006年に販売を中止し、14年には製品サポートも終了していた。
どうなる修理頻度
aiboは犬の鳴き声「ワン」にちなみ、2018年1月11日に発売する。先行予約も17年11月1日午後11時1分に受け付けを始める念の入れようで、初回分はすぐに完売した。
先代より丸みを帯びたデザイン。人工知能(AI)を搭載し、人とのふれあいを通じて日々成長し、個性を獲得する。本体価格は19万8000円(税別、以下同)で先代より約2割安い。専用サーバーに常に接続して情報をやり取りするクラウドサービス「aiboベーシックプラン」への加入が必須となる。利用料金は3年一括の場合9万円、月々36回払いの場合は月額2980円。ほかに修理・健康診断サービスが利用回数の制限なく半額となる任意加入の「aiboケアサポート」も用意する。3年5万4000円、1年は2万円。
修理料金の目安は、バッテリーの交換やファームウェアアップデートなどは2万円以下、その他外装の交換、部品交換を伴わない修理には2万円前後、駆動部(足交換など)や基板の交換などは2万5000円~10万円になるという。家電製品のメーカー保証期間は一般的には1年間だが、aiboの場合は30日間しかない。どのくらいの頻度で修理が必要になるのかも、ソニーの技術力を示す重要な材料になりそうだ。