スバルが払う大きな代償 「不正検査公表」でこれから起きるコト

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   日産自動車に続き、SUBARU(スバル)でも、国の規定に反して無資格の検査員による新車の完成検査を30年以上にわたり続けていたことが明らかになった。神戸製鋼の品質管理データの改ざん問題が2017年10月初旬に表面化したのに続き、日産、スバルの不正検査問題など1か月間に立て続けに日本を代表する製造業で不祥事が発覚したことに、経済界ではショックが広がっている。

   「スバルはものづくりに実直に取り組む会社だという印象があったのに。日本企業の品質管理全般に不信感を持たれなければよいが......」。ある有名機械メーカー幹部は肩を落とした。

  • スバルの吉永泰之社長(2017年10月25日撮影)
    スバルの吉永泰之社長(2017年10月25日撮影)
  • スバルの吉永泰之社長(2017年10月25日撮影)

研修中の無資格の従業員が従事

   スバルは10月3日、日産自動車の資格検査問題を受けて急きょ実施した社内調査の結果、2工場で無資格者による検査が行われていた事実を把握。国土交通省との協議を経て、吉永泰之社長が同27日、記者会見を開いて問題を明らかにした。

   スバルでは資格を持つ「完成検査員」に認定する際、一定の研修で十分な知識や技能を身につけたと現場管理者が認定した従業員を、有資格者と一緒に検査業務に従事させていた。そのうえで、こうした研修中の無資格の従業員には、有資格者が判子を貸して検査書類に押させていた。

   吉永社長は記者会見で、「現場は自分たちのやり方が正しいと思って続けてきた。悪意は全くなかった」と釈明。「歴史の古い会社なので、あうんの呼吸で動いてしまうようなところがあった」と述べた。

ブランドイメージが失墜

   有資格者が無資格者に判子を貸して検査書類に押印させ、適切に検査したかのように装っていたのは日産の手口と同じだ。ただ、スバルと日産との違いは、スバルでは無資格検査に関わっていたのが完成検査員になるための研修中の従業員、つまり検査員になる「寸前」の者だった点だ。日産では研修を受けていない従業員も関わっていた。さらに、日産は国の立ち入り検査の際に不正が発覚しないよう偽装工作をしていたが、スバルではそうした事実は今のところ出ていない。その意味で、「日産に比べれば、スバルの『罪』は軽い」(国交省幹部)とは言えそうだ。

   ただ、不正検査の代償は大きい。北米を中心に世界的に人気が高い「SUBARUブランド」のイメージは失墜し、今後の販売にも影響が出る恐れがある。近く25万5000台規模のリコール(無償回収・修理)を届け出る予定だ。吉永社長は10月27日の記者会見で、「当社自体が日本のものづくりに対する不信や不安要素になっていることに、非常に忸怩たる思いがある」と吐露した。

   「消費者向け商品を扱う製造業として、われわれは100%の品質確保を期待されている」と話すのは、トヨタ自動車の豊田章男社長(日本自動車工業会会長代行)だ。これまで品質を売りにしてきた日本の製造業。今後、失った信用を取り戻せるかが問われている。

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