すでに人で安全性も効果も確認された薬
今回の研究で興味深いのはその成果だけでなく、糖尿病の治療薬というすでに存在している薬で効果が期待できる可能性がある点だ。
一般的に完全な新薬であれば人へ投与した場合の安全性や有効性を検証する必要があるため、臨床試験を経て実用化するまでにはかなりの時間がかかる。しかし、今回のPPARγが人の脂肪細胞を活性化させる効果をもつことや、人に投与しても安全であることは糖尿病治療で確認済みだ。
つまり、今後AML患者で効果が確認できれば、すぐにも治療に用いることができるかもしれない。バティア教授も「PPARγを患者で試験する可能性について、私は興奮を覚えている」としたうえで、
「近い将来、新たな治療法として既存の標準治療に置き換えられ、骨髄移植の順番を待ち続けている人々に利益をもたらすかもしれない」
と語っている。