日本でも小児科の待合室にはおもちゃや絵本を置いてあるところが珍しくなく、子どもに触らせてよいものか迷う親が多いだろう。
米国小児科学会は2017年11月初め、小児科クリニックの待合室に置かれているぬいぐるみなどのおもちゃは、病原菌をうつす可能性が非常に高いため、子どもに触らせて絶対ダメという緊急声明を機関誌「American Academy of Pediatrics(AAP)」(電子版)に発表した。ぐずつく子どもには自宅からおもちゃを持っていくことを勧めている。
「細菌の巣窟」ぬいぐるみは待合室に置くべきではない
AAPのプレスリリースによると、声明はインフルエンザワクチンの接種シーズンを前に、10年ぶりにガイドラインを改訂したのを機に発表された。新しいガイドラインは薬が効かない耐性菌の大流行を警戒、これまでより厳しい感染症予防策を医療機関と保護者に求めている。「おもちゃ対策」もその1つで、「特にぬいぐるみは、医療機関がどんなに洗っても清潔に保つのは難しく、病原菌が生息するため、子どもは絶対に触らないように。また、医療機関も待合室やゲームルームに置くべきではない」と求めている。
声明では、待合室のおもちゃに関し、ほかに次のように注意している。
(1)患者の家族は自宅からおもちゃや絵本を持って来ることが望ましい。多くの子どもが待合室のおもちゃを共有する機会を減らすべきだ。
(2)待合室のおもちゃは子どもが使うたびに洗うのが理想だが、毎日診察時間後に清潔にすることも許容される。
(3)おもちゃは、石けんで汚れを洗い流したうえ消毒し、乾燥させる。
(4)患者の家族がおもちゃを自宅から持ってくる場合、ぬいぐるみは病原菌が付きやすく、洗うのが難しいため望ましくない。