【ハートネットTV】(Eテレ)2017年10月31日放送
「ギャンブル依存症―孤立する当事者と家族―」
「ギャンブル依存症」は、衝動を抑えられずギャンブルを続けてしまう、WHOが認める精神疾患だ。国内には320万人いると推定されていて、割合は海外と比べ突出して高いが、今の日本では具体的な対策の見通しはない。
16年12月には、カジノを含む統合型リゾート施設の整備を推進する「IR推進法(通称カジノ法)」が成立した。依存症患者に十分な対応ができていない現状で、公営カジノが認められようとしている動きに不安はぬぐえない。番組では、当事者とその家族を追い、現状をみつめた。
親に金を無心、包丁を持ち出すことも
関東で暮らす小川明さん(仮名、30代)は、月に1回、長崎県の精神科病院を訪ねている。弟の穣さん(仮名、30代)がギャンブル依存症で、17年8月にここに入院したのだ。
結婚生活が上手く行かず、現実逃避のため、25歳の頃からパチンコを始めた穣さん。どんどんハマり、コントロールできないほどになってしまった。
人付き合いが苦手な穣さんは定職に就けず、両親にパチンコ代を要求するようになった。
明さん「だんだん額がでかくなっていって、最初1000円、2000円だったのが、そのうち毎日2万円になって、親も年金暮らしなので耐えられない。そしたら『親戚から借りてこい』とか大声上げてみたり、包丁を持ち出して暴れたりが始まったので、本当に弟が何かして警察に捕まって刑務所に入るか、親が自殺するかどっちかしかないかなって。もう手に負えなくなっちゃってて、そう思ってました」
警察に相談すると、精神科病院への入院を勧められた。穣さん自身もギャンブルへの衝動を抑えたいと入院に前向きだったが、病院が受け入れを拒否した。
精神科病院の職員「ギャンブル依存症については病気ととらえない精神科医もまだまだ多く、効果的な治療法も確立していない。少なくともうちの病院でできる精神医療はまだないし、プログラムを行っている病院もあるようだが、効果があるのかうちでは判断できないので、他の病院を紹介もできないし、うちでは診られませんという回答しかできなかった」
また警察に行ったら精神保健福祉センターを紹介されたが、「こういう問題は家族で対応するしかない。頑張ってください」と言われるだけだった。
精神保健福祉センター所長「ギャンブルの依存については、国でもどういう対応をするかの動きがあるとは聞いていない。今の法律などの体制では何ともしようがないのが正直なところ」
受け入れ先が見つからない中、暴力は日に日に激しくなり、両親は車で寝泊まりするように。明さんがネットで見つけ連絡した民間の支援団体が長崎の精神科病院を紹介してくれ、ようやくギャンブル依存症と診断された。ここにたどり着くまでに10年以上かかった。
穣さん「自分自身依存症だと思ってなかった。自分でコントロールできなくてギャンブルに狂っていたのに、依存症だって自覚できない自分がいた。今は感謝しています」