医師や専門カウンセラーの代わりにはならないが...
対話自体は実にスムーズだ。英語という壁はあるが、質問の3項目は簡単で、回答を詳細に書き込まなくてもよい。半面、「これだけのやり取りで、本当にカウンセリングとして成立するのか」と疑問も残った。
もっとも、記者が試したのは1度だけ。対話を積み重ねないと、効果を実感出来ないはずだ。Woebotとの会話を繰り返すなかで、相談者自身が自己を見つめ直し、行動や考え方を変えるきっかけを見つけるかもしれない。継続することで、Woebotが相談者の気分の変化をグラフ化して表示したり、質問を通して一定の精神パターンを見つけ出したりもしてくれる。
ただし、現状ではWoebotが医師や専門カウンセラーとして広く認められているわけではない。その点は実際の会話の中で、「私(Woebot)は未熟で間違うこともあります。どうか人間による支援の代わりとして使わないでください」と強調していた。さらに、会話中に体の具合が悪化した場合は「SOS」と入力すれば必要な情報を送信してくる。緊急時用として救急の電話番号も案内していた。
フェイスブックのメッセンジャー上でのやり取りというのも、プライバシーの面で気になる点だ。Woebotのやり取りが友人に見られることは基本的にはないが、誤って自ら公開するリスクはゼロではない。またWoebotのフェイスブックページに「いいね」を付けていれば、友人からはその事実が分かる。そのため開発側は、メールアドレスを通知すれば独自のメッセージングのシステムが完成した場合に案内するとアナウンスしている。
まだまだ改良点が多いとはいえ、時間の制約を受けず、高額なカウンセリング費用を支払う必要もないAIセラピーが将来実現すれば、利用者にとっては大きなメリットになるかもしれない。