盗む行為に依存する「クレプトマニア」
  虐待や厳しすぎる教育が一因に

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派手な服装と透明のバッグで自分にブレーキ

   赤城高原ホスピタルでの治療は、専門職によるカウンセリングのほか、グループミーティングへの参加が義務付けられている。病院のスタッフは一人も立ち会わず、患者だけが誰にも言えなかった盗みたい気持ちや辛い体験を正直に打ち明ける。盗みをやめられないのは自分だけではないと知り、どんな話をしても責められず受け入れられる安心感も得られる。

   2年間入院したのち、3年前に退院したミユさん(仮名)は、今関西地方で暮らしている。

   外出の時はあえて派手な服装にする。周りの人の視線を集め、万引きをしづらい環境を作っているのだ。

   バッグは物を隠せないよう透明のビニール製に。買い物する時は必ず主治医に「今からコンビニに入ります」などとメールし、万引きにブレーキをかけている。

   5年間盗まない生活を送ってきたが、いまだに自分が回復したとは感じていない。

   ミユさん「まだまだ危ないと思っています。色んな所に落とし穴があって、スーパーなんかで他人の忘れ物をよく見ちゃう。カバンが忘れられていても、お店の人に『あそこに落ちていますよ』と伝えるまではやって、私は決して触らない。これをとっちゃったらまた一からだと思っているので、一日一日がすごく大変なんですけど」

   万引きしたい衝動は不意に襲ってくるが、医師からのアドバイスを受け、入院中に出会った当事者たちと文通している。

   ミユさん「あちらも頑張っている、私もこっちで頑張っていて、つながっているから(とらない)意識が深まります。お互いが支え合っている。仲間は私にとって一生の宝です。何があってもとらないのは仲間の支えがあるから」

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