時差ボケの体内時計の乱れは食べて治す
  牛乳や大豆のアミノ酸に針合わせ効果

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   時差ボケやシフト勤務などによる体内時計の乱れは、これまで生活習慣の改善で治すとされてきたが、「食べ物」でも治せる可能性がある研究がまとまった。

   九州大学と製薬大手ファンケルの協同研究チームがアミノ酸の一種「L-セリン」を摂取すると、光による体内時計の針合わせが強められることを発見し、栄養学専門誌「Journal of Nutrition」(電子版)の2017年10月25日号に発表した。

  • 体内時計の針を進める仕組み(九州大学の発表資料より)
    体内時計の針を進める仕組み(九州大学の発表資料より)
  • 体内時計の針を進める仕組み(九州大学の発表資料より)

アミノ酸「L-セリン」を食べて朝の光を浴びる

   九州大学の発表資料によると、人の体には約24時間サイクルで刻まれる体内時計が備わり、睡眠・覚醒状態やホルモン分泌・血圧などの生理活動が地球上の昼夜リズムに合うようにコントロールされている。しかし、現代社会では不規則な勤務や旅行による時差ボケ、また夜間にパソコンやスマートフォンの光を見続けるなどの生活から体内時計が乱れがちだ。体内時計が乱れると、がんや糖尿病、高血圧、肥満などのリスクが高まる。

   人の体内時計は、もともと正確には24時間より若干長いため、朝の光を浴びることで毎日「針合わせ」が行なわれるが、実際には生活リズムの乱れから針合わせが追いつかない人が多い。

   研究チームは、人間に必要な20種類のアミノ酸のうち、「L-セリン」を摂取すると、体内時計の光による針合わせが強められることをマウスの実験で確認した。また、マウスの昼夜リズムを6時間ずらし人工的な時差ボケ状態にさせたうえで、L-セリンを決まった時間に食べさせると、体内時計の針が早く進み、新しいリズムに早く同調した。

   さらに、男子大学生に夜L-セリンを摂取させ、朝に光を照射すると、体内時計の針を示す「メラトニン」(体内時計調節ホルモン)の分泌開始時刻が大きく前進し、人でもL-セリンで体内時計の針合わせが強められることを実証した。

   L-セリンは、牛乳や大豆、高野豆腐、イクラ、かつお節、海苔に多く含まれている。中でも、L-セリンは牛乳中のたんぱく質のうち約8割を占めるカゼインに多く含まれている。眠れない時に、ホットミルクを飲むとよいといわれるのは、牛乳に質の良い睡眠をもたらすL-セリンが含まれているからだ。

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