韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、日本の軍事力拡大に懸念を示している。2017年9月にニューヨークで行われた日米韓首脳会談で、「米国は韓国の同盟国だが日本は同盟国ではない」と発言したと韓国メディアが報じたのに続いて、シンガポールメディアとのインタビューでは、日韓の協力関係を「軍事同盟に発展させるのが望ましいとは思わない」と述べた。
いずれも背景にあるとみられるのが「国民感情」。北朝鮮への対応をめぐり日米韓の緊密な連携が求められる中で、韓国では世論の反発が大きく、「足かせ」になっているのが現状だ。
軍事同盟が可能なほど日韓関係が整理されていないという判断
日本の外務省の発表によると、9月の国連総会に合わせて行われた首脳会談で、3か国の首脳は「日米韓の安全保障・防衛協力についても議論し,協力を進めていく」ことで一致した。ただ、文氏はこの場で、日米の間に明確な一線を引いていたようだ。韓国の聯合ニュースが青瓦台(大統領府)関係者の話として11月5日に報じたところによると、文氏は
「米国は、私たちの同盟国だが、日本は同盟国ではない」
と断言したという。この発言の狙いを、聯合ニュースでは(1)中国側の懸念を払拭する(2)軍事同盟が可能なほど日韓関係が整理されていないという判断を示す、ことにあると解説。特に後者については、
「日本が慰安婦問題に対する責任を果たさないという国民一般の感情を考えると、同盟は検討できないとの立場を明らかにしたものだ」
とした。
文氏は11月3日にシンガポールのテレビ局、チャンネル・ニュース・アジア(CNA)で放送されたインタビューでも、日本との同盟に否定的な見解を示している。
「韓国にとって、北朝鮮の核とミサイルによる挑発に対応して、米国との協力に加えて日本との協力関係も非常に重要だ。しかし、日韓米の3か国間の協力関係を高めるのは北朝鮮の挑発に対応するためであって、軍事同盟に発展させるのが望ましいとは思わない」