「私、失敗しないので」の名セリフで人気の女性外科医が活躍するテレビドラマ「ドクターX」。それを裏付けるような研究が発表された。カナダの外科医師のチームが、女性医師の方が男性医師より手術の失敗が少なく、術後の経過が良好という調査報告を英医師会誌「British Medical Journal(BMJ)」(電子版)の2017年10月10日号に載せた。
米国でも内科医を対象にした調査で、女性医師の方が男性医師より死亡率が下がるという結果が出ている。診てもらうなら女性医師の方が断然よさそうなのはなぜだろうか。
女医が診ると死亡率が4%減、再入院率が5%減
実は今回のカナダの医師チームの研究は、米国の内科医の調査結果に驚き、外科医の分野では医師の性差の違いがあるのかどうか調べたものだ。そこで、米国の調査を改めて紹介しよう。
衝撃的な調査が発表されたのは、米医師会誌「JAMA内科学」(電子版)の2016年12月19日号。研究をまとめたのは米ハーバード大学のチームだ。論文によると、研究チームは2011~2014年に米国の急性期病院に入院し、内科の診療を受けた65歳以上の高齢者158万3028人(平均年齢80.2歳)を対象に、担当した女性医師と男性医師の間での患者の死亡率と再入院率の違いを調べた。死亡率は入院後30日内に死亡する割合、再入院率は退院後30日以内に再び入院する割合だ。患者のデータは政府公的保険「メディケア」のレセプト(医療報酬明細書)を使った。
分析の際には、女性医師と男性医師が診療する患者の重症度を同じレベルにし、また医師の「力量」を同程度にして比較するため、患者の年齢、性別、収入、主な病名、医師の年齢、出身大学、病院などを調整した。たとえば、女性医師と男性医師が違う病院に勤務する場合があるため、同じ病院で働いている者同士を比較した。念には念を入れたのだ。
その結果、女性医師の方が死亡率は約4%低かった。また再入院率も女性医師の方が約5%低かった。