神戸製鋼所は2017年10月26日、不正があったアルミ・銅製品、鉄鋼製品などを納入した525社のうち、8割超の437社の製品で「安全性を確認した」と発表した。これにはトヨタ自動車の乗用車、JR東海の新幹線車両などが含まれる。
消費者にとっては、最終製品の安全性にかかわる重要な情報だ。ところが新聞・テレビなど大手マスコミは、神戸製鋼で新たに4件の検査データ改ざんなどの不正が見つかったほか、問題となった銅製品で日本工業規格(JIS)の認証が取り消しとなったことなどを大々的に伝えた。マスコミは「安全確認」よりも「新たな不正」を求め、センセーショナリズムに流されてはいまいか。
経済産業省のテコ入れ
神戸製鋼の発表翌日の10月27日付の朝刊各紙は、日本経済新聞が3面で「神鋼、JIS認証取り消し 10年で3度目 不正新たに4件」と大きく報道。肝心の製品の安全性調査については、13面で「神鋼社長『8割で安全』」と小さく報じただけだった。朝日、毎日、読売の全国各紙も「不正新たに4件」や「JIS取り消し」を1面や2面で大きく扱い、安全性について「出荷先8割で安全確認」(朝日2面)など、見出しに取ったのは少数派だった。
もちろん今回、神戸製鋼の製品の安全性が100%立証されたわけではない。しかし、当初、「年内か年度内いっぱいはかかる」と説明していた神戸製鋼の調査が、経済産業省のテコ入れもあって急がれ、8割の企業で「安全」が確認された意義は大きい。経産省から10月12日に「2週間を目処に安全性について確認し、発表するように」と指示を受けた神戸製鋼は、やっと重い腰を上げた格好だ。