10月1日に内定式を迎えて1か月が経つ。18年卒業予定の学生でも依然就職活動を続ける人もいるが、各社はすでに来年度の採用に向けてインターンシップを行うなど、人手不足とあって活発な動きを見せている。
そんなとき、リクルートスーツを買いに紳士服店を見に行けば、黒無地のスーツが並んでいることが多い。実は、「黒無地のスーツ」=リクルートスーツ、というイメージについては、世代によって意見が割れる。就職活動で黒無地のスーツは、いったいどう捉えられているのだろうか。
「周りがみんな黒で自分だけ紺色」
現在就職活動を行っている、埼玉県在住の20代男性に2017年11月1日、尋ねたところ、
「業界によっても違いはあるとは思いますが、黒、または黒っぽい濃紺のスーツを着ているひとが多いと思います。柄はなく、いずれも無地です」
と回答。グレーのスーツは「見たことがないです」と述べた。
しかし黒のリクルートスーツに関するツイッターの反応を見ると、
「黒い服、というものは元々冠婚葬祭用のものです」
「私はグレーでした。黒は礼服という認識」
と、あくまで黒のスーツは礼服でありビジネス向けではないとする意見も多い。また、
「四十代男性ですが、私が就活した頃は紺のスーツが当たり前でした。濃紺だと黒に見えるとかで・・・・」
「バブル世代です。私の就活の時には『男子は紺。女子は紺かグレー、職種によってはベージュも可』でした」
という意見がある。比較的若いと思われるユーザーからも、「周りがみんな黒で自分だけ紺色だった」「就活用にスーツを買いに行ったら、スーツ屋で黒一択ですよとオススメされるというのを聞いて驚いた」といったつぶやきが見られる。
黒無地スーツは「悪目立ちせず、無難な色」
就職活動において、黒無地のスーツはどう捉えられているのか。J-CASTニュースは11月1日、NPO法人日本サービスマナー協会(東京都中央区)の森良子講師に話を聞いた。森さんは就職活動におけるスーツについて、
「黒無地のスーツがおかしい、ということはありません。むしろ、『悪目立ちしない』『無難な』スタイルになっていると思います」
と回答。もちろん、従来のリクルートスーツとされてきた暗めのチャコールグレーや濃紺のスーツも就職活動においては問題ないと述べた。おおむね、2003年ごろから黒無地のリクルートスーツが一般的になってきたという。ただ、一般的になっていった理由はわからないとしたうえで、
「これは常識の変化なのかもしれませんね。一般に黒無地のスーツは冠婚葬祭やパーティの際に着用するもので、ビジネスでは好ましくないとされていましたが、次第に許容されてきているのが現状です。人事の方から話を聞いても、黒無地のスーツは8割くらいの学生が着用していますし、黒無地だからといってネガティブなイメージも持っていない人事担当者も多いです。黒無地のスーツに身を包んだ若者を見ると、『ああ、就活をしているんだな』と我々が感じるように、黒無地=就活、というイメージはいま強く根付いているのだと思います」
と述べている。