HPVで口腔がんを発症する例はまれ
ただし、今回の研究には制限も多い。
まず、口腔内がHPVに感染していても、そこから口腔・咽喉がんを発症する人はまれで、女性では1000人に2人、男性も1000人に7人程度のレベルだという点だ。かなりの低リスクであり、裏を返すとHPV感染ががん発症リスクの目安にはなりづらいともいえる。
また、研究は調査時点で口腔内にHPVが存在するかを確認しただけで、いつどのような方法で感染したのかはわかっていない。オーラルセックスのパートナー数にしても因果関係までが証明されているわけではなく、あくまでも相関を示唆するにとどまる。
オーラルセックスのパートナー数が多いからといって本当に口腔・咽喉がんリスクが高まるのかはわからない。
ちなみに、研究が提案するオーラルセックス時のセーフティーセックス法は、
「性器や肛門にコンドームやラバーダム(歯科治療などで用いるゴムの膜)を使用する」
となっていた。がんリスクが低下するかは定かではないが、性感染症の予防にはなるだろう。