黒字転換できるか
かっぱ寿司の運営会社はこれと前後して資本関係がめまぐるしく変わり、経営が迷走した。2000年代後半に一時、「すき家」などを展開する外食大手ゼンショーが約3割の筆頭株主、2013年から14年にかけてコメ卸最大手の神明が約3割の筆頭株主、14年11月にコロワイドの子会社に――といった具合だ。ゼンショー時代にはスシローと、神明時代には元気寿司との経営統合が検討されたが、企業文化の違いなどからいずれも実現しなかった。
コロワイド傘下となった後も、コロワイドの送り込む社長は3人を数える。2人目の四方田豊氏は「安かろう悪かろう」のイメージを払拭すべく、ブランド見直し戦略を断行したが、子供たちに人気のカッパのキャラクターが消えたことなどがかえって悪評を呼び、業績的にも2017年3月期の純損益は58億円の赤字に転落した。2017年4月に就任した3人目の大野社長が、改めての「平日攻め」と変化球メニューに挑む、というわけだ。
競争が激しい回転寿司業界では、9月、最大手のあきんどスシローを運営するスシローグローバルホールディングスと5位の元気寿司がそれぞれの大株主である神明のもとで経営統合に向けた協議に入った。2位のくら寿司(運営会社くらコーポレーション)を引き離し、規模の利益を追求。業界としては大手4社体制が固まった。結果的に再編を拒否し続けたかっぱ寿司の4月~9月の既存店売上高は、4、6、7、9月にわずかながらもプラスになり、6か月連続マイナスだった前年、前々年に比べれば改善している。単独で生き残りを図る以上、もはや背水の陣。新戦略の効果で黒字転換できるかどうかが、まず問われている。