「商工中金を利用して中小企業に公金をばらまいた」構図
一方、「経済最優先」を掲げる安倍晋三政権は、危機が去った後も景気対策として危機対応融資の予算を膨らませ続けた。商工族議員ら政治家と、アベノミクスの旗振り役を自任し、ほぼ一貫して商工中金にトップを送り込んできた経済産業省が足並みをそろえて巨額の予算を確保。「商工中金を利用して中小企業に公金をばらまいた」(経済官庁幹部)構図が浮かび上がる。
経済産業省などは10月25日、商工中金に2度目の業務改善命令を出す一方、世耕弘成・経済産業相は給与2か月分を自主返納し、経済産業事務次官と中小企業庁長官を厳重注意処分とした。
安達社長の後任として、政府内では「銀行経営の経験者がふさわしい」といった声が上がるが、不正まみれの組織を立て直すのは容易ではなく、「火中の栗を拾う人はなかなかいない」(財界関係者)のが実情。監督官庁の幹部までもが処分されるという異例の状況の中、商工中金の再生には相当な時間がかかりそうだ。