大量の薬が大腸を疲弊させた
通常、大腸にはりめぐらされた「腸管神経」が大腸を収縮させ、便が肛門に運ばれる。腸管神経が働かなくなると大腸の筋肉がゆるんで収縮できず、便を運べなくなる。これが弛緩性便秘だ。
排便できなくなると腸内にどんどん便がたまり、管がふくらむ。正常な大腸は下向きのコの字のような形をしているが、便がたまると重さに耐えきれず垂れ下がり、複雑に折れ曲がった形になってしまう。
便秘を悪化させていたのは、便秘薬の間違った使い方だった。
大竹さんが服用していたのは、腸管神経に直接働きかけ、腸の収縮を起こさせる「刺激性便秘薬」と呼ばれるものだ。効果は高いが、長期間連続して服用してはいけない。
大竹さんは2年半毎日薬を飲み続け、量も勝手に増やした結果、大量の薬で毎日腸が刺激され、腸管神経が疲弊。筋肉がゆるみ、便を送り出せなくなっていたのだ。
診断後、薬の使用を控え、生活習慣を地道に改善し、正常な便通を取り戻した。
刺激性便秘薬を使わない方がよいのでは、と思ってしまうが、週2回程度の使用なら大腸に悪影響を及ぼさないと近年の研究でわかってきた。処方する医師もいるが、その際は短期間の使用や頓用を勧めている。