研究報道の在り方に疑問も
VOX Mediaは資金提供の問題だけでなく、こうした情報を伝えるメディアや広報担当者にも問題がないわけではないと指摘している。
例えば、2016年7月に米コロンビア大学のアダム・ブリックマン博士は、チョコレートメーカーから資金提供を受け、カカオフラバノールが年齢とともに劣化する記憶力の回復に寄与する可能性があるとする研究を発表。
研究ではカカオフラバノールを含むサプリメントを使用していたのだが、大学のプレスリリースでは「チョコレートに記憶力回復効果」とされ、これを引用したメディアではチョコレートにアルツハイマー病抑制効果があるかのように報じられていたという。
ブリックマン博士はのちに「チョコレートの定期的な摂取でアルツハイマー病は予防できないし、そのような研究は行っていない」と否定するコメントを出している。
ちなみに、質の高い医学論文・情報を検証する「コクラン共同計画」が発表している「コクラン・レビュー」では
「フラバノールが豊富なチョコレートとカカオ製品は、主に健康な成人を中心に2mmHg(水銀柱ミリメートル)の血圧降下効果を短期間引き起こす。心臓血管疾患のリスク低下と直接関連する証拠は示されていない」
とされ、他に健康効果は言及されていない。