2000年代のインターネットに親しんだ人なら、「ツールバー」という言葉に懐かしさを感じるはずだ。ブラウザにインストールし、検索などを手軽にできるようにするこれらツールバーは00年代前半、各社が競って提供していた。
その文化もしかし、過去のものになりつつある。17年10月31日、そんな中でもサービスを続けてきた「Yahoo!ツールバー」が、とうとう姿を消した。このニュースに、ネット上では感慨の声が。
14年前は「3人に1人」が利用していた
「2002年3月のサービス開始以降、多くの皆さまにご利用いただいてきましたが、近年における急速なインターネット利用環境の変化や、ご利用状況を踏まえ、何度も検討を重ねた結果、サービスを終了させることにいたしました」
7月にこう予告していた通り、Yahoo!は10月31日、15年にわたって展開してきたツールバーサービスを終了した。すでにGoogle Chrome版は2014年、FireFox版は15年に撤退、Internet Explorer版に絞って更新を続けてきたが、ついに幕引きに。今後はセキュリティーを含むサポートも終了するため、使い続けている人に対してはアンインストールするよう求めている。
追加型のツールバーは、ネットの普及とともに90年代後半から勃興、00年代前半に最盛期を迎えた。当時はYahoo!などのポータルサイトのほか、「asahi.com」のようなメディアや一般企業なども競ってリリース、検索を中心に、さまざまな機能を提供した。2003年の調査では、実に33%もの回答者が「(ツールバーを)現在利用している」を選んだという。
当時は、ウェブ上を検索するためにはポータルや検索サービスのトップページに向かわねばならず、思い立ったらすぐ検索ができるツールバーには小さくない需要があった。
「ツールバー戦争って時代があったなあ...」
だが、2008年リリースのGoogle Chromeなど、今では当たり前となった「アドレスバーから直接検索できる」ブラウザが増えると、ツールバー文化は廃れていった。かつてYahoo!と覇権を競った「Exciteツールバー」は2015年に撤退、「Googleツールバー」も、IE向けのみに細々とサービスを提供しているのみだ。そのIEも、すでに「Microsoft Edge」にWindows標準ブラウザの地位を明け渡してしまったが......。
「懐かしい。良く分からないままこういうのを次々とインストールして、ツールバーが太くなっている人が良くいたな」
「ツールバー戦争って時代があったなあ...」
「またインターネットの一時代の終了を感じるね。『インターネットが狭い』というパワーワード知ってる人も少なくなったかなあ」(いずれもツイッターより)
「インターネットが狭い」というのは、複数のツールバーを考えなしにインストールしてしまい、画面が見えづらくなってしまった状態を指す言葉だ。当時は他のソフトウェアに「抱き合わせ」のような形で配布されるなどして、「知らない間に追加されていた」ということも多く、その削除方法もわからないままズラズラと並んだツールバーは、「情弱」の代名詞だった。
まだサービスを続ける社もあるとはいえ、これからはこうしたイメージも過去のものになりそうだ。