大阪にある商店街のポスターが面白すぎる、と話題になっている。女性の水着の胸元をアップし「いいムネあります」と書かれたポスターは鶏肉店、「1か月間、暗闇に監禁した」と書かれたポスターは漬物店だ。
商店街を活性化させようとこうした面白ポスターを展示する商店街は全国に広がっていて、そのルーツは大阪だったのだ。
大型スーパーの出店が迫っていた
この面白ポスター作りを地域総合振興事業として真っ先に取り組んだのが大阪商工会議所だ。そもそもは電通関西支社のクリエイター、日下慶太さんが大阪市浪速区の商店街「新世界市場」のイベントに個人として参加した際に、イベントが終了すると元のシャッター商店街に戻ってしまうことを憂い、コピーライターである自分が商店街を活性化させるためにできることはポスター作りだと一念発起する。それが2012年のこと。会社の若手メンバーを集めボランティアで各店のポスターを制作したところ、その面白さに全国的なニュースとなった。それに目を付けたのが大阪商工会議所で、日下さんに協力を依頼しポスターによる活性化を希望する商店街を探した。
白羽の矢が立ったのは大阪市阿倍野区の「文の里商店街」。同商店街は最盛期に100店舗が軒を並べたが、客足が遠のき半数近くがシャッターを下ろした。さらに近々、近隣に大型スーパーの開店を控えていた。店主の老齢化が進むも「なんとかしなければいけない」という意識が強く、新規顧客の開拓にも前向きだった。そして、電通の約60人の若手デザイナー、コピーライターがボランティアで集結し、店主らと交流を重ね、200点以上ものポスターを制作した。ポスターの展示は13年秋からで、現在は51店舗がそのポスターを店頭などに掲げている。