フィリピンのドゥテルテ大統領が天皇皇后両陛下の前で見せた「礼儀正しさ」が、フィリピンメディアの間で驚きをもって受け止められている。
ドゥテルテ大統領は麻薬の売人の殺害を容認するなど過激な言動で知られ、日本政府内では懸念の声もあがっていたという。2017年10月下旬に北京を訪れた際は、習近平国家主席を前にガムをかんでいたことが問題視されたばかりで、動向が注目されていた。
過去の言動から「日本政府の一部からは懸念の声も」
ドゥテルテ大統領の訪日は今回が2回目。16年10月の初訪日の際にも両陛下と会見予定だったが、三笠宮さまの逝去で中止になっていた。
日本メディアが宮内庁の話として報じたところによると、会見は17年10月31日に約25分間にわたって行われ、天皇陛下は第2次世界大戦で多くのフィリピン人が犠牲になったことに言及。ドゥテルテ大統領は、両国は過去を乗り越えて協力関係を築いたことを指摘し、日本による継続的な支援に感謝を述べたという。
ジャパンタイムズによると、
「政府筋によると、過去の議論を呼んだ発言を理由に、大統領の訪日日程に両陛下との会見が含まれることについて、日本政府の一部からは懸念の声もあがっていた」
というが、実際の会談では
「皇族に尊敬の念を持ち、部屋に入る際に一礼するなど、会見の冒頭では緊張している様子だった」
という。
この異例の態度にはフィリピンメディアも注目しているようだ。ニュースサイト「ラップラー」は、
「ドゥテルテ氏はスーツを着て、普段よりも礼儀正しく控えめな様子だった」
と指摘。大手テレビ局のGMAは、ドゥテルテ大統領が天皇陛下との会見後に
「恐れ多いことだった」
と述べた、と報じている。