【ウワサの保護者会】(Eテレ)2017年10月21日放送
「PTAは何のため?」
「PTAに入りたくない」「PTAって必要なの?」―昨今、こんな声が噴き上がっている。目的がわからない活動に時間を割いて参加しなくてはならない、効率が悪すぎるといった不満が溜まりに溜まった結果だろう。
番組では、実際にPTAを改革した保護者が登場。体験談から、今のPTAに必要なものが見えてきた。
好評な活動でも翌年はやらなくてOKに
そもそもPTAは、1948年にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が米国のPTAを参考にして導入したものだ。子どもたちが育つ環境をよりよくするため、保護者が学校や地域と協力して活動するのが目的だった。
ジャーナリストの大塚玲子氏によると、本場のPTAは有志が参加していたが、当時の日本では「作りなさい」と言われたら「その場にいる人は必ず全員やりましょう」としか考えられず、それが現代まで続いてしまっているという。
大学2年男子、高専2年男子の父・カラーさん(仮名)は、中学校のPTA会長を4年間務めた。
初めて活動に参加した時、多くの行事が本当に子どものためになっているかと疑問を抱いた。親に負担がかかれば子どもにも負担がかかると感じ、自身が会長になってPTA総会でこう宣言した。
「PTAは究極のボランティアと思ってください。子どもたちのために何ができるか考え、できる時にできる人ができることをやろう。絶対無理してやることはないよ、と」
前年までの活動を、子どものためになっているかどうかで仕分けた。子どもや保護者がほぼ参加しない講演会や、地域の行事のため「サクラ」を集めるのをやめた。
「絶対中学生おれへんやんけ、言うところをグルグル回ってたり、時間帯まだ早いで!って」という問題があった見回り活動は、時間帯と場所を見直した。
一方で、新たに始めた企画もある。子どもが参加する漁業体験をはじめ、平日に開催される運動会では、来られない保護者のため、パソコン部の力を借りてネットで生中継を実施した。
好評の活動も多かったが、「できないと思ったらやらなくていい」との考えで、1年で終わったものも多い。
大塚氏「次の年にあっさりやめているのに好感を持った。せっかくいい企画をしようとしているのに、『今年はいいけど来年以降できなくなるからやめたほうがいい』と止められることがとても多い。1年ごとに考え直せばいい」
地域に相談したらお金がもらえたケースも
小学4年男子の母・キジバトさん(仮名)の学校は、近年の開発で保護者の数が1.5倍ほどになり、PTAの役が足りなくなった。みんなに役を当てるため、講演会のサクラや会議室の掃除の回数など、意味のない活動が増えてしまった。
しかし、新しくPTAに参加した保護者から「おかしいですよね」「なぜやるんですか?」と声が上がった。
校長から「本当に必要なことをやっていただきたい」と言われたのもあり、なるべく活動をスリム化。サクラはやめ、会議室の掃除は1学期に1回とするなど見直した。
さらに、校庭の芝生の草刈りを地域主催とし、PTAはボランティアで参加すると決めた。
カラーさんの学校でも、吹奏楽部の楽器が予算が足りずボロボロになっていると言ったところ、お金を援助してくれた地域の人がいたという。学校に関わることをPTAだけで解決しようとせず、外部に協力を求めるのも重要だ。
毎年やっている活動を変えようと言うのは勇気がいるが、大塚氏は「声を上げるのが大事」と訴える。
自身も子どもが小学6年の時、卒業式の準備や記念品などの手配を行う「卒業対策委員」を務めたが、前の学年長から「ずっと続いているけど、こういう問題があるから絶対大塚さんの代でやめさせて」と言われた活動があり、実際にやめられたという。
大塚氏「言われたことは変えやすい。言ってみたら『何だ、みんな思ってたんだ』ということもある」