人の細胞ではなくマウスだった例も...
誤同定の例は冒頭のように肺がん細胞ではなく肝臓がん細胞だった事例や、人の細胞のはずがマウスだった例、別の特性をもつ前立腺がん細胞だと思われていた2つがまったく同じものだったなどさまざま。
両博士はすべての誤同定が重大な問題を招くわけではなく、研究結果にあまり影響しないものもあるかもしれないとしつつ、
「ひとつの研究は他の研究に参照・言及されていくうちに、いつかは大きな問題になるかもしれない。そうなってしまっては、貴重な研究時間と費用の両方を浪費する可能性がある」
と指摘。研究者らは細胞株のチェックを入念に行い、実験にあたっては細胞株の汚染を防ぐ手段を必ず講じる、誤同定が発覚した論文にはその旨を明記し掲載している学術誌は論文の公開中止や警告するよう呼びかけている。
とはいえ、誤同定によって研究がすべて無意味になるわけではないとも指摘しており、
「細胞実験が研究のすべてではなく、新薬開発などでは動物実験や人間を対象とした臨床試験も行われている」
ともコメントしている。