第2のお台場?
過去に都の調停で決着した例は2件あり、大井ふ頭は品川区56%・大田区44%で、お台場地区は江東区75%・港区17%・品川区8%とし、いずれも関係区が受け入れて決着している。今回、大田区が訴訟に踏み切れば初のケースになり、両区が目指した東京五輪までの決着は見通せない状況になる。
「もはやメンツ争い」(都政関係者)との声も出るが、果たして実質的な意味がどの程度あるのだろう。
現状では、埋め立て地に住民もおらず、税収など直接的な利点はほぼない。そもそも、土地の所有者は東京都のままで、江東区、大田区の区有地になるわけではなく、どのように利用していくかについても、区が勝手に決める権限はない。
参考になるのはお台場だろう。フジテレビ本社ビルをはじめ、各種商業施設、ホテルなどが進出し、イベントもさまざま開かれる。東京のウォーターフロントの「顔」としてにぎわっており、両区が「二匹目のどじょう」を期待しているようだ。企業やイベント会場などの誘致が進めば、周辺にマンションが増えて社員が住むというように好循環が生まれ、税収増が期待できる。あるいは、五輪後もスポーツ拠点として発展するなどの期待もある。このように、将来開発が進んだ場合の波及効果を見込んでいるということだ。ただ、開発には、橋、道路、鉄道などインフラの整備も必要なのはいうまでもない。
かつての「ごみの島」が宝島に変貌するまでには、帰属問題がどうあれ、長い時間が必要なのは間違いない。