二正面作戦が可能に
ところが、19匹のヒト化マウスにストップ役の「RK-20449タンパク質」を投与しても、5匹ではがん細胞が死滅したが、14匹では一部が死滅せずに生き残った。何者かががん細胞を死なないようにしたのだ。そこで、がん細胞を延命させた物質を探ると、「BCL2」というタンパク質が働くためであることが分かった。今度は、「BCL2タンパク質」を働かなくする薬剤を開発、その薬剤とストップ役の「RK-20449タンパク質」を併用してマウスに投与すると、約8割のマウスでがん細胞を根絶することに成功した。がん細胞の増殖スイッチのオフと、延命役の排除という二正面作戦で根治につながる成果を得た。
研究チームは発表資料の中で、「今回の成果は今後、特に治療が難しい急性骨髄性白血病患者を救うための新たな治療法になるものと期待できます」とコメントしている。