「おむつ交換台が女性トイレにしかなかったよ」。お笑いコンビ「飛石連休」の藤井ペイジさんのツイッター投稿が反響を広げている。
1歳の息子と2人で東京都庁の展望台に出かけた藤井さんだが、男性トイレにはおむつ交換台がなかったため「リアルに困る」と訴えた。「イクメン」の苦労はトイレにもあるようだ。
「パパがオムツ交換するのは想定してないのかと」
藤井さんは2017年10月29日、「息子(1才3ヶ月)つれて2人で都庁の展望台に行ったら、おむつ交換台が女性トイレにしかなかったよ」「リアルに困るんですけど」とツイートすると、30日夕までに1万4000回以上リツイートされた。続けて「都庁に限ったことではなくて、古い建物にはそういうタイプのトイレ(おむつ交換台が女性側のみ)が多いです。ちなみにもっと古いと、そんな台自体がない笑」とも投稿している。
ユーザーらは続々とリプライを寄せた。「私も気になっている問題です。外出時、息子のオムツを主人が替えられないパターンがよくあります」「私も子供のオムツ交換の際に思いました。パパがオムツ交換するのは想定してないのかと」と共感する声のほか、「これじゃあ、育休取得率も低い訳ですよね」と男性の育児参加の障壁になっているとの見方もある。
「優先トイレ」を使えばいいという意見もある。多目的、多機能、誰でもトイレなどさまざまな呼称があるが、基本的には車いす使用者や高齢者をはじめ、性別によらず誰でも利用できるトイレで、多くはおむつ交換台も備えている。ただ、藤井さんは「そこでしかダメな人がいらっしゃいますし、たいてい1ヶ所に1つしかないので、おむつ替えは時間がかかることもあるから、できれば占領したくないのです」との考えを投稿している。
国土交通省は、少し古いが12年4月、多機能トイレの普及にともない「車いす使用者などの障害者だけでなく、高齢者、子ども連れなどによる利用が集中して、車いす使用者が使いにくくなっているという指摘が寄せられています」としてトイレ利用マナー向上のためのパンフレットを公表している。
また、男性トイレのおむつ交換台にそこまでニーズがあるのかという旨の意見も寄せられていたが、藤井さんは「このご時世、幼児連れの父親、そんなに少なくないですよ」と自身の経験からツイートしていた。
都庁だけでなく、駅や商業施設では...
展望台は都庁45階にあるが、藤井さんは「ベビーベッドは44階女性トイレ内にあります」と誘導する貼り紙もあったとしてその画像もアップしている。
東京都の庁舎管理課担当者は、J-CASTニュースの30日の取材に、「男性トイレへのおむつ台は、現在のところ設置する予定はありません」と話す。ただ、現在の新宿の都庁舎には1991年に移転し、25年以上経ったため、都では庁舎改修プロジェクトを進めている。「男性トイレにおむつ台を設置してほしいという要望は特に頂いていませんが、今後改修の過程で考える可能性はあるかもしれません」とした。
都庁に限らず他の施設では、男性トイレにおむつ台は設置されているか。親子連れの利用機会も多い駅について、東京メトロ(東京都台東区)に聞いたところ、広報担当者は「すべてではありませんが、男女トイレともおむつ交換台が設置されている駅はあります。男性トイレに設置されていなくても、多機能トイレにおむつ台が付いていますので、そちらを利用していただければ」と話した。
大手商業施設を全国展開するイオンモール(千葉市)にも聞いたところ、「男女トイレともおむつ交換台を設置している店舗はあります。要望をいただくこともあるほか、社会的ニーズの高まりも感じており、リニューアル時には利便性向上のために設置するケースが多いです」と積極的だ。たとえば、イオンモール多摩平の森(東京都日野市)では、おむつ交換などができる「赤ちゃんルーム」を設置しているフロアと、男性トイレにおむつ交換台を設置しているフロアとがあり、男親もどのフロアであっても乳児のおむつ交換ができる設備を整えている。ただ、担当者は「男性トイレにおむつ台を付けるスペースが確保しづらい店舗もあります」とも明かしていた。
NPO法人・日本トイレ研究所の加藤篤代表は、J-CASTニュースの取材に「トイレに選択肢を増やすという点で、男性トイレにおむつ台を備えるのは好ましいと思います」と話す。
「多目的トイレがあれば十分というわけにはいきません。誰でも利用できるため、本当に必要な人が利用できなくなる場合もあります。また、近年のトイレは『機能分散』という方向性にあります。混雑を防ぐため、目的に最もあったトイレを用意し、利用できるほうが望ましい。男性の育児参加という点でも、各施設で男性トイレのおむつ交換台へのニーズが高まる可能性はあるでしょう」