「柳井さん、一対一で話し合おうよ。僕も1年働いたんだから」
『ユニクロ潜入一年』横田増生さんインタビュー

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潜入ルポを始めたきっかけは?

   ジャーナリストの道を志したのは、英文学を専攻していた大学生時代だという。本多勝一さんの『カナダ=エスキモー』、『ニューギニア高地人』、『アラビア遊牧民』3部作をはじめとするノンフィクション作品と出会い、世界が「1冊1冊違う」新鮮さに「こんな本を書いてみたい」。

   新聞記者を目指したが就職に失敗し、英語講師をしつつ奨学金で渡米、大学院でジャーナリズムを学ぶ。ところが帰国すると、今度は大手紙では年齢制限に引っかかってしまった。そこで入社したのが、物流系の業界紙「輸送経済」だ。3年ほどで編集長にも昇進した。

横田 ただ業界紙は、読んでる人も、スポンサーも、取材先もみんな業界の人。タブーだらけで、書いていいことが限られるんです。たとえばある区間の具体的な運賃を書くと、「営業妨害だ!」。記事公開の直前になって、「取材していいとは言ったが、記事を書いていいとは言ってない」。そんなムチャ言うヤツがいっぱいいるんですよ。
そんな中でも、「タブーに挑戦する」というやり方を学んだのは良かったんですが、いつも同じ話、いつも同じ取材先。「俺がやりたいのはこれじゃないぞ」とフリーになりました。

   時に30代半ば。第2作『アマゾン・ドット・コムの光と影』(情報センター出版局、2005年)で、当時急速に台頭していたAmazonの物流倉庫に潜入取材を行い、話題を呼んだ。これが、『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』(小学館、2015年)、そして今回のユニクロ潜入などへとつながっていく。

横田 「潜入ルポの先駆者になろう」とか、別にそういう深い考えはなかったんです。家と近かったし、仕事も「ヒマ」だったのでいいか、と。閉鎖的だったAmazonの内側、そして「格差社会」の縮図を書けたことが、今思えば評価されたのかな。
潜入取材も当時は、かなりビクビクしながらやっていたのですが、今ではどのくらいまでならバレないか、など、だいたいわかるんですよ。「顔バレ」にしても、僕もテレビにちょっと出たりするけれど、それこそ帯番組に出演するくらいにならないと誰も気づかないものですね。
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