上に子がいる妊婦は妊娠中に予防接種を
なぜ、兄姉がいるとインフルエンザの症状が重くなるのだろうか。ハードリッド博士はこう説明している。
「子どもは、インフルエンザのような呼吸器の病気を引き起こすウイルスの非常に強力な感染源なのです。兄姉があちこちからウイルスを持ち帰ってきます。英国で導入されている鼻スプレーのワクチンは、授乳を受けている赤ちゃんや兄姉を守るうえで、効果を上げています。ワクチンの接種は、6か月未満の子どもには認められていません。しかし、私たちの研究では兄姉のいる6か月未満の子どもが重症化することが明らかになりました。上に子どもを持つ母親は赤ちゃんが生まれてからできることは限られています。妊娠中にワクチンを接種しておくことを勧めます」
日本では胎児への影響を心配し、妊娠中のワクチン接種を控える妊婦が少なくない。国立成育医療研究センターはウェブサイト「妊娠と薬情報センター:インフルエンザワクチン」の中で、こう述べている。
「日本で使用されるインフルエンザワクチンは、生ワクチンではないので重篤な副作用は起こらないと考えられ、一般的に妊娠中のすべての時期において安全であるとされています。妊娠初期に従来のインフルエンザワクチンを接種しても先天性異常のリスクがないという研究結果もあります」