希望の党内では衆院選の惨敗を受け、民進党の合流組を中心に小池百合子代表の辞任を求める声が出ている。しかし希望の党への事実上の合流はもともと、民進党が全会一致で決定したもの。小池氏の人気を追い風に変えて政権交代をめざす考えだった。
そのため選挙後の謀反のような動きには異論が複数出ており、前参院議員でタリーズコーヒージャパン創業者の松田公太氏は「当初『かついだ』責任をどう考えているのでしょうか?」と苦言を呈した。
「私はこの流れに強い違和感を覚えています」
松田氏は2017年10月26日、「小池叩きに違和感」の見出しでブログを更新。「選挙の終盤、『希望』の候補者からは小池代表に対する批判が沸き起こり、選挙後においては所属議員や落選者から退任論が噴出しています。同時にマスコミも小池バッシングを展開しています」とした上で、「私はこの流れに強い違和感を覚えています」と異論を唱えた。
9月下旬に結党した希望の党の勢いは、都知事選と都議選で圧勝した小池代表の人気もあり、当初すさまじい勢いだった。当時野党第一党だった民進党は両院議員総会で、希望の党への事実上の合流を決定。合流組は、理念に齟齬がないようにと希望の党が求めた「政策協定書」にもサインした。
しかし徐々に党勢は失速。最終的に235人を擁立したものの、公示前勢力の57人を下回る50人当選にとどまった。原因として、小池代表の「リセット」「(民進党の一部を)排除」「(民進党の)全員を受け入れる考えはさらさらない」といった言動が影響したとみる向きは強い。
松田氏は上記ブログで「確かに小池さんは失言を繰り返し、党のイメージ作りに失敗しました。また、政策の中身が中途半端で、政権批判にも具体的な対案がなく、説得力に欠けていました。それが敗戦の根本的な原因になっていますので、なにかしら責任を取る必要があります」と小池氏の責任を指摘。だが、
「希望の党に集まったのは(民進党出身の場合は両院議員総会の決議も経て)、小池さんの人気に『あやかって』選挙に勝つという安易な考えの議員や候補者がほとんどでした。それが一転、風向きが変わると全てを小池さんの責任とし、当初署名をした政策協定も、選挙後の合流(民進参議院)も無効だと騒ぎ始めるしまつ」
と一部の民進合流組を批判した。
「自らの立場をリセットいただきたい」
24日放送「NEWS23」(TBS系)では、民進合流組の柚木道義氏が「政権交代可能な受け皿をつくる覚悟で小池代表が希望の党をリセットして立ち上げたなら、自らの立場をリセットいただきたい」と辞任を求めた。
25日の希望の党両院議員懇談会でも小池代表の責任を問う声が相次いだ。3時間にも及んだ会では、小池氏自身、「意見として、代表を辞任せよ、続けるべき、いろいろあった」と述べ、樽床伸二氏も「選挙の結果を受け止めるなら辞任を、という声は出た」と明かしていた。
だが松田氏はブログで、希望の党をベンチャー企業にたとえてこう見解を述べている。
「本当に『経営理念』や『方針』に共感を覚えて入社したのならば(もしくは全社員総会を経てM&Aに合意したなら)、社長が失言をしても、ブランドイメージが低下しても、まずは立て直しに尽力するのがまっとうな大人としてのあるべき姿です」
その上で安易な小池氏解任論に疑問を呈した。
「それもせずに文句を発している議員たちは、政党の政策や理念はどうでもよく、単純に小池人気に乗っかろうとしただけだということを自ら露呈してしまっているようなものです。もし本当に小池さんが救いようのない低レベルな政治家だったとしたら、その人を当初『かついだ』責任をどう考えているのでしょうか? とりあえず当選してしまえば、あとは逃げるが勝ちなのでしょうか?」
弁護士の八代英輝氏も、26日放送の「ひるおび!」(TBS系)で、民進合流組の態度の変化に不快感を示した。
「『排除』『さらさら』がなければ政権奪取までいけたのではという話になっているが、『排除』『さらさら』は1つの引き金に過ぎない。有権者からみると、主義主張をかえて民進党が(希望の党に)流れ込んだようにしか見えない。仲間が倒れたとか言っているが、『排除』の時点で、排除された側にいけばよかったのではないか。希望の党に残るほうが選挙を戦いやすいと思ってそう選択したのだろう。だとしたら、負けた後で言うのはフェアじゃない」
また、中央大学法科大学院の野村修也教授は26日、ツイッターで「民進党のお家芸である『足の引っ張り合い』や『決められない政治』からは卒業して欲しい。小池さんの創業者魂に期待したい」とエールを送っていた。