東京五輪とパラリンピック開会式・閉会式の4日間、「都内で排出される全てのCO2(二酸化炭素)をゼロにする」――そんな計画を小池百合子都知事がぶち上げた。
ネット上ではその大風呂敷が、「呼吸もしちゃいけないのか」などとさっそくネタに。都民は光合成するしかないのだろうか!?
実際に「排出ゼロ」にするわけではない
この構想は2017年10月23日(現地時間)、小池都知事が訪問先のパリで明らかにした。その名も、「東京ゼロカーボン4デイズ in 2020」だ。オリンピックとパラリンピックの開会式・閉会式が行われる2020年7月24日・8月9日・8月25日・9月6日の4日間、CO2排出を「ゼロ」にすることをうたう。
CO2ゼロということは、東京ではその日、車も工場も全部ストップしてしまう?――なんてことは、もちろん不可能である。
都では2010年から、大規模事業所を対象にした「排出量取引制度」を導入しており、削減目標を達成した事業者には「超過排出量(CO2クレジット)」を付与している。今回の取り組みは、そのCO2クレジットを都に「寄付」してもらい、上記4日間に排出される見込みの約72万トンのCO2を、額面上差し引きゼロにするというものだ。日経新聞(ウェブ版)の23日付記事では、「世界に先駆けて導入した排出量取引制度をPRし、東京を環境先進都市として発信する」目的があると分析している。
しかしこのニュースが広がると、
「【悲報】小池都知事 東京オリンピックの間CO2ゼロを約束。都民は呼吸禁止へ」
といったスレッドが2ちゃんねるに立ったのをはじめ、「呼吸」も含む一切の二酸化炭素排出が禁止されるのだ、と「曲解」してボケる人が続出した。
「東京さんは大変やなぁ 大阪はほんま息し放題やでえ」
2ちゃんねるなどの掲示板やツイッターでは、
「東オリCO2排出0って東京都民全員抹殺でもするんかな」
「ぐえー息できないンゴ」
「ということは都民のみんなは光合成するしかないのか...頑張ってね、僕は埼玉県民だからco2クリエイトする」
「オリンピックになったら、東京都民が呼吸のため荒川を越えて埼玉に殺到するんじゃないかと、川口の住民としては今から戦々恐々としています」
「東京さんは大変やなぁ 大阪はほんま息し放題やでえ」
といった書き込みが。
以前も小池都知事は、希望の党の政策として「花粉症ゼロ」を宣言、「虚構新聞(の記事)かと思ったわ」などとイジられている。これとあわせて、「東京で花粉症ゼロとCO2排出ゼロを達成するには都民を抹殺するのが一番手っ取り早い」と皮肉る声すらある。
ちなみに、国立環境研究所・地球環境研究センターのウェブサイトには、
「温暖化が心配です。吐く息を止めなくても大丈夫ですか」
というQ&Aが掲載されている。これによると、人間が1日に吐き出すCO2は一人当たりおよそ1キロで、「化石燃料の消費によって全世界から排出されるCO2量の約9%に相当」する。しかし、そのCO2は、元をたどれば「もともと大気中に存在したもの」なので、人間がいくら呼吸をしても、「大気中のCO2を増やしも減らしもしません」とのことだ。