生演奏じゃないとダメ、ビデオ録画では心拍変わらず
一方、自律神経の働きを調べると、心拍数が高いレベルに上昇したにもかかわらず、交感神経(緊張する)と副交感神経(リラックスする)との間の高低さは穏やかだった。観客たちは人間ドラマの展開に適度に緊張しながらも、歌や踊りを楽しみ適度にリラックスしていた。
調査を率いた同大学心理学部のジョセフ・デブリン博士は、プレスリリースの中でこう語っている。
「この調査で、ライブの観劇が心肺機能を活性化するということがはっきりとわかりました。歌や踊りのリラックス効果によって、心拍数の上昇が、あくまで心臓発作を起こさない健康的な範囲に抑えられるのです。そして、劇場のパフォーマンスの最高値と最低値が、心臓を適度に刺激して有酸素運動と同じ健康効果をあげていると考えられます。別の研究によると、ピアニストの生演奏を見ている時の観客の心拍数は音楽のテンポによって変化しますが、同じ演奏をビデオ録画されたものを見ても心拍数は変化しません。音楽はライブで見聞きするのが健康に一番よいのです」