同性愛者ではなくバイセクシャルでもない、異性の恋人がいる異性愛者の男性が、別の異性愛者の男性と性的な関係を伴わない親密なつながりを持つことを「ブロマンス」という。この「ブロマンス」、ミレニアル世代(1980年代~2000年代初頭生まれの世代)にとっては異性の恋人とのロマンチックな関係に匹敵するようだ。
2017年10月12日に英ウィンチェスター大学のアダム・ホワイト博士とステファン・ロビンソン博士らが発表した研究では、異性愛者の男性の多くが同性とキスや抱擁を行い、恋人に対するのと同じ愛情や独占欲を感じていることが明らかになった。
恋人よりもブロマンスな関係の同性
「ブロマンス」は、いわゆるホモソーシャル的な関係で古代ギリシャのころから存在している概念だが、ホワイト博士は近年、若年男性の間でブロマンスの捉え方が変わってきていると感じていた。
そこで、「ブロマンスと友情は明確に異なるのか」「ブロマンスと異性とのロマンスにはどのような違いがあるのか」の2点を明らかにするため、同大に所属する30人の学生に聞き取り調査を実施。現代のブロマンスの解明に取り組んだ。
対象となった30人は全員が異性の恋人がいる異性愛者で、同性の「恋人」がいたり、同性愛の性的行為を行ったことがない。
聞き取りで明らかになったのは、男性たちの相当な親密さだ。30人中29人は日常的に同性と抱き合ったりキスをしており、そうした行為を隠すこともなくフェイスブックなどのSNS上でもオープンにしていた。
ある男性は「私の周辺ではみんな男性同士で抱き合ったりキスをしていて、いつものこと」と回答。
「セックスを伴わない感情のケアのようなものだ。ベッドで抱き合って寝ることもあるし、特別なことじゃない。深い愛情を示すときにはキスだってしている」
とまで話している。「正直に話し合えるので、健康問題や恋人との問題も相談しやすい」「恋人は一時的だがブロマンスは生涯続く」といった声もあったようだ。
しかし、なぜここまで親密な状態になるのだろうか。その理由として30人全員が「匂い」を挙げている。全員がガールフレンドと過ごすよりも、同性の匂いを嗅ぐほうが自分の感情を安定させたり、問題解決や目標達成の手助けになっていると答えたのだ。
こうした結果についてホワイト博士らは、「1970~1980年代に欧米では極端な同性愛嫌悪が起き、ブロマンス的な関係が否定されていたが、それが緩和されつつあるのではないか」と推測している。