オオカミは犬の50倍も賢くて仲間思い? 綱引きテストで明かされた結果

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仲間同士が協力して綱を引き合う実験をすると

   実験は、ウィーンにあるオオカミ科学センターで行われた。同センターでは、オオカミと犬が小さい頃から自然に近い同じ環境で育てられている。つまり、人間からの影響がない同じ条件下で、オオカミと犬の生まれつきの自然な行動や能力を比較することができるわけだ。

   同センターの犬とオオカミたちに、2匹ずつペアで「綱引きテスト」を行なったところ、予想以上に大差で能力の違いが出た。犬は、472回中わずか2回しか成功しなかった(成功率0.42%)。一方、オオカミは416回中100回成功させた(同24.03%)。実にオオカミの成績は犬の57倍である。オオカミの成功率は、チンパンジーと同水準の成績だという。

   この結果について、マーシャル・ペシーニ博士は英公共放送のBBCの取材に対しこう語っている。

「オオカミは、実験の課題を非常にうまくこなしていました。仲間に対し、とても協力的なうえ、強い社会的な絆で結ばれています。一方、犬はロープをくわえて引く作業では、全くと言っていいほど協力し合うことはありませんでした。3万年前、オオカミが食べ残しをあさろうと人間の集落に来て、家畜化したのが犬の先祖といわれています。その中で、寛容さと協同性に富んだ子オオカミだけが選別され、今日の犬になったというのが家畜化仮説です。しかし、私は異議を唱えたいと考えます」

   犬の先祖の謎は深まるばかりだ。

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