定年制は「人材をムダに捨てている」? 廃止や延長の動き広がる

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   定年を延長して65歳以上にしたり、定年制度そのものを廃止しようとしたりする企業が増えている。少子高齢化が進む中、大きな経営課題ともなっている人手不足の解消や経験豊かなシニア層を活用しようという狙いだ。

   日本生命保険は2017年8月、21年度から従業員の定年を現在の60歳から65歳に引き上げる方針を労働組合に示した。約1万5000人が対象になるという。生保業界では、明治安田生命保険やT&Dホールディングス傘下の太陽生命保険も定年延長を決めている。このほか、ホンダやサントリーホールディングス、大和ハウス工業など大手企業にも定年延長の動きが広がっている。

  • 人手不足の解消にシニア世代を(画像はイメージ)
    人手不足の解消にシニア世代を(画像はイメージ)
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社内の新陳代謝が進まなくなる側面も

   厚生労働省の調査によると、定年制を廃止した企業は前年より0.1ポイント増の2.7%、定年を65歳以上に延長した企業は同0.5ポイント増の16.0%で、定年制廃止・定年延長は計18.7%と2割弱に達している。

   企業にとって若者の採用は厳しさを増しており、経験と技術を持つ熟練した労働力は貴重な存在。実際、能力の高い従業員が60歳という年齢だけで職場を退かなければならなくなっても、代わりの若手は確保できず、「人材をムダに捨てている仕組みは早く変えなければ会社の命取りになる」と話す外食企業幹部もいる。

   ただ、企業にとって定年制廃止や定年延長による負担は決して軽くない。高齢者が増えれば、その分、若手を採用する機会が失われ、社内の新陳代謝が進まなくなる。高齢者を従来と同じ待遇で採用し続ければ、人件費がかさみ、経営に与える影響も深刻だ。

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