HDLの「裏切り」は止められるか
動脈硬化になることでHDLが機能不全に陥り、さらに悪玉化してしまうという負の連鎖に陥ってしまうわけだが、解決策がないわけでもないようだ。
機能不全の原因はHDLがLTB4を放出しているためであり、LTB4の働きを阻害することができればHDLはマクロファージに正常に取り込まれる。両者の悪影響もなくなり、健康な人のように抗動脈硬化作用を取り戻すことができる可能性はあるという。
とはいえ、最も大切なのはそもそも動脈硬化にならないことだろう。
日本動脈硬化学会は「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」の中で、HDL・LDLコレステロールのバランスを取るために必要なのは生活習慣全体の見直しであるとしており、コレステロールの摂取制限だけを行っても意味はないと明言。
血圧や血糖値を適切にコントロールし、禁煙、運動、減塩、適度な飽和脂肪酸の摂取など包括的な取り組みを行うようすすめている。