群衆のどこからともなく「安倍晋三」と連呼するコールが湧き上がった。安倍総裁が2017年10月21日、JR秋葉原駅前で衆院選前最後の応援演説を終えた直後のことだ。
駅前に集まったのは、目視でざっと1000人は下らなかった。秋葉原は3か月前の都議選で「安倍辞めろ」コールを浴び、安倍氏が「こんな人たち」と発言して物議を醸した因縁の地。野党支持者も入り乱れ、騒然とする中、なぜか「アルシンドコール」が聞こえた、との声も相次いだ。
演説終了直後に湧いた「安倍晋三コール」
安倍氏が秋葉原に到着したのは21日19時30分ごろ。同時に駆けつけた麻生太郎氏に続いてマイクを握った。
「安倍総理頑張れ」といった声が飛んだほか、多くの聴衆が手に持つ日の丸の旗を見て「それ、どこでもらえるんですか?」と尋ねる支持者もいた。「負けるな安倍総理」と書かれた巨大な横断幕も目に入った。
一方、「森友と加計の説明してみろ」と吐き捨てる「反安倍」派も少なくなかった。安倍氏が旧民主党政権の話を持ち出したシーンでは、「この5年よりマシだったよ」と嘲笑する声も聞こえた。
そうして与野党双方の支持者が詰めかけた秋葉原で、安倍氏が演説を終えた直後に起きたのが「安倍晋三」のコール。「頑張ろう」三唱のため一時止まったが、自民党関係者全員が選挙カーをおりた後で、もう一度「安倍晋三」のコールが湧き、しばらく続いた。
この日はちょうどアルシンドの誕生日だった
秋葉原は7月の都議選前最後の演説で「安倍辞めろ」コールが起きた。そのため今回の秋葉原演説を「リベンジ」ととらえるメディアもある。こうしたことからツイッター上でも「安倍晋三コール」は賛否含めて反響が広がった。
「『安倍晋三コール』『安倍総理ガンバレ』の声援で妨害の連中を黙らせれた。秋葉原に集まった支持者のみなさんお疲れまでした」
「最後の安倍晋三コールには感動しました」
「自民全面支持じゃないんで、ちょっと引く」
「かなり物々しい空気になってきました...」
一方、音便が似通っているためか、こんな報告も続々あがることになった。
「秋葉原聴衆『アルシンド!アルシンド!アルシンド!アルシンド!』」
「安倍総理演説会場。アルシンド、アルシンドってきこえるな」
「『アルシンド!』に聞こえた」
「『安倍晋三』コールがだんだん『アルシンド』に聞こえてくる」
「駅前でアルシンドコール巻き起こってて何かと思ったら安倍晋三コールだった」
日本で有名な「アルシンド」と言えば、草創期のサッカーJリーグで活躍したブラジル人FWのアルシンド・サルトーリ氏。鹿島アントラーズやヴェルディ川崎の黄金期を支え、テレビCMにも出演して人気を博した。偶然にも、安倍氏が演説した10月21日はアルシンド氏の50回目の誕生日だった。