希望の党代表の小池百合子氏が、衆院選投開票日を含むパリ出張期間の党代表代行に指名した人物をめぐって、「お友達しがらみ人事」などと揶揄されている。
希望の党は若狭勝氏や細野豪志氏が中心となって結党準備を進めてきたが、小池氏が代表代行として白羽の矢を立てたのは樽床伸二氏だった。理由の1つに「長年の盟友」であることをあげているが、小池氏は安倍晋三政権を「お友達」政治だと批判してきた経緯がある。
「お友達だ、忖度だ、友達なら良いことがある」と安倍政権を批判
小池氏は2017年10月21日夜、東京都知事としての公務のため、以前から予定されていたパリ出張に出発した。帰国するのは25日の予定で、党代表ながら衆院選投開票の22日は不在になる。
複数の報道によると、小池氏は出発直前に、代表代行として選挙対策事務局長の樽床氏を指名した。そこで「長年の盟友だ。留守の間、代表代行として、(選挙)結果を受けてのさまざまな対応をお願いした」と、「盟友」の言葉を使っている。
小池氏はこの選挙戦、安倍晋三政権への批判に「お友達」の言葉を使ってきた。10日に池袋駅前であげた第一声でも「安倍一強政治を終わらそう。お友達だ、忖度だ、友達なら良いことがある、そんな政治に信頼がもてるか」と語気を強めていた。
そんな小池氏が「盟友」の樽床氏に自身の不在を託した。樽床氏は22日の党開票センターに出席する予定。ただ、9月27日の希望の党設立会見に出席した初期メンバー14人ではない。10月5日発表の第3次公認リストに比例代表のみでようやく名前が載った候補者だ。
樽床氏は「まるで『政界風見鶏』」?
樽床氏は1993年の衆院選で小池氏とともに日本新党公認で当選した。その後、いくつかの党を渡り歩き、98年から旧民主党に長く在籍。2010年には代表選に立候補し、野田佳彦政権時代には閣僚経験もある。だが12、14年の衆院選には落選。16年3月に民進党に改称されると、約1か月後に離党し、以来無所属で活動してきた。
「まるで『政界風見鶏』」。産経WESTは9月27日付記事で、樽床氏をそう評した関係者談を紹介。樽床氏は衆院選について「無所属を前提にやってきたが、急に状況が騒がしくなった」と直前に結党された希望の党を意識する発言をしたという。さらに10月2日には自身のウェブサイト記事で、「国家・国民のために切磋琢磨する政治の姿が必要だと思います。国民本位の政治であり、最近流行りの表現を使えば『国民ファースト』です」と希望の党に同調するような発言があった。
こうした経歴の持ち主で、希望の党への貢献度は一段劣る樽床氏が、若狭・細野両氏らを押しのけて代表代行指名を受けた。「お友達」政治を批判してきた小池氏による人事に、ツイッター上では
「出た!お友達しがらみ人事」
「安倍政権を『お友達内閣』と批判の小池が投票前日に『お友達人事』」
「過剰な高待遇で事実上当選が約束されてる。理由は小池さんと親しいお友達というだけ」
「自分のイメージを守ろうという事なんだろうな。『負けの顔』を樽床に押し付けて」
「若狭勝と細野豪志を使い捨てにして、代表代行に樽床伸二を指名」
といった声が続出した。