ユニクロ、海外事業が成長軌道 一方でさえない「国内」

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   カジュアル衣料品店ユニクロを展開するファーストリテイリングの業績が好調だ。同社が2017年10月12日に発表した8月期の連結決算(国際会計基準)によると、売上高に当たる売上収益は前期比4%増の1兆8619億円、営業利益は39%増の1764億円、純利益は2.5倍の1192億円と、いずれも過去最高だった。

   海外ユニクロ事業が成長軌道に乗ってきたのが最大の要因。2018年8月期も勢いは持続しそうで、連結売上高は初めて2兆円を超え、海外ユニクロの売上高が初めて国内ユニクロを上回ると見込んでいる。

  • ユニクロは東南アジアはじめ、海外市場で好調のようだ(画像はイメージ)
    ユニクロは東南アジアはじめ、海外市場で好調のようだ(画像はイメージ)
  • ユニクロは東南アジアはじめ、海外市場で好調のようだ(画像はイメージ)

「中国、香港、台湾」と東南アジアがとりわけ好調

   2017年8月期の海外ユニクロの売上高は7081億円だった。前期に比べると8%増にとどまっているが、為替による押し下げ要因があり、現地通貨ベースでは15%増収だという。営業利益は731億円と、ほぼ倍増した。

   とりわけ好調なのが、グレートチャイナ(中国、香港、台湾)と、東南アジアだ。グレートチャイナの通期の売上高は前期比4%増の3464億円、営業利益は37%増の501億円だった。値引きを抑制して利益率が改善したほか、発注・販売計画の精度を改善。中国大陸では各エリアの気候に合わせて商品を構成することで売り上げが伸び、欠品防止にもつなげた。現在645店舗だが、今後も年100店舗程度の出店を続ける。

   Eコマース(EC)が順調なのも強みだ。ユニクロは中国の週刊誌が実施した小売りブランドランキングで、3年連続1位を獲得するなど高い評価を得ており、売上高に占めるEC比率は10%強に達する。今後3~4年でEC比率を30%程度にまで高める。また今後5年間で売上高1兆円、営業利益2000億円にするのが目標だ。

   東南アジア・オセアニアは急成長している。東南アジアの気候や文化に合わせた商売を積極投入したほか、各国の生活水準に合わせた比較的買いやすい東南アジア限定商品を企画。新規顧客の開拓につなげた。現在1000億円の売上高を今後5年で3000億円にまで増やすことを目指す。

「情報製造小売業になる」

   米国は赤字幅が半減した。デニム、UT(Tシャツ)などのコア商品や、コラボ商品の情報発信が成功し、既存店売上高は増収となった。柳井正・会長兼社長は「『危機的な状況』から『悪い状況』になった。今期は『悪い状況』から『良好な状況』になる過程にある」と分析した。

   一方、国内ユニクロはさえなかった。売上高は1%増の8107億円と増収を確保したが、営業利益は6%減の959億円。既存店売上高は1.1%増で、ワイヤレスブラ、感動パンツ、イージーアンクルパンツ、UTなどの話題性のある商品の販売が好調だったものの、人件費や物流費が増加し、利益を押し下げた。ECの売り上げ構成比は6%と、0.6ポイント増えた。3月のスマートフォンサイト刷新効果が出たが、それでも目標とする30%には遠く及ばない。国内ユニクロの急成長は難しそうだ。

   柳井社長は「『情報を商品化する』新しい業態、情報製造小売業になる」と宣言し、米グーグル、アマゾン、アップル、中国アリババ、テンセントの名を挙げて「協力者であり競合先にもなる」と分析した。どう具体化していくのか、注目が集まりそうだ。

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